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「未来の自分に期待しよう。諦めるのはまだ早い」。柔道家・野村忠宏が高校生たちに伝えた“自分自身を乗り越える方法” (2/2)

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「お前はよく頑張ってはいるが、今のままじゃ強くなれんぞ。なぜなら、ただ与えられた練習をこなすことに必死になっているだけだからだ。乱取りの残りの本数や時間などを常に気にしながら、ペース配分を考えてやっていて、本当に試合に生きる練習をしていない。途中で、もう限界だとなったら休んだっていい。そこまで自分を追い込むような練習をしろ、と言われました」

 自分の甘さに気づかせてもらった野村さんは、翌日から練習に対する意識と取り組みをすべて変えます。1本1本の乱取りに全力を注ぎ込むようになると、それまでの約半分の本数で腕がパンパンに張り、息は上がって、立っていられないほどヘトヘトに。細川監督に言われた通り、限界まで自分を追い込めた。これ以上は動けないので休もうとしたところへ、耳を疑うような一言が飛んできました。

「監督が、なんやお前そんなもんか? って。これには、さすがにカチーンときましたよ。限界までやったら休んでいいって言ったくせに、ナメンなよ! って(笑)。でもね、人って自分ではもう無理だと思っても、余力ってかすかに残っているものなんです。そのギリギリのラインを見極めて、あと1本、2本と背中を押せるのが一流の指導者。そして、限界を感じた後に心と体のエネルギーをもう一回、歯を食いしばって出し切る訓練を重ねることで、試合でギリギリの勝負を勝ち切る執念などが培われるのです」

 こうした質の高い練習を毎日続けていくと、成果はたちまち現れ、何とわずか半年後に全日本の学生チャンピオンになりました。

「もう一つ強くなった要因があるとしたら、それは背負い投げ。弱かった自分を唯一支えたものであり、絶対にこれを武器にするんだと磨き続けた技が、大学2年生でやっと技術として体に染み込んで、試合で勝てるようになったんです」

 快進撃はさらに続き、大学4年時に開催された1996年のアトランタ大会で、初出場・初優勝の快挙まで成し遂げました。

自身の座右の銘「執念」の文字が書かれた横断幕を贈呈

 ここで、野村さんがオリンピックで獲得した3つのメダルを披露。ケースに収められている、左からアトランタ、シドニー、アテネ大会の金メダルに、生徒たちの目は釘付けになっていました。

 アトランタ大会から4年後のシドニー大会、8年後のアテネ大会への挑戦においても、毎回さまざまな苦難と対峙しながら、その度に自分自身を見つめ直して克服してきた野村さん。

「人は辛いこと、できないことに出会うたびに自分の弱さを感じますが、その弱さをちゃんと認めて、受け入れて、乗り越えるための努力をする。その過程こそが本当の感動や喜び、自分自身の成長につながります。また、人生の中で一番の財産となるのが人との出会いです。でも、それは一生懸命生きている人にしか巡ってきません。そのことを頭に入れて、自分の人生は自分で作るんだという強い意志を持った、強い人間になってください」

 高校生の皆さんへの熱いエールで講演を締めくくると、生徒会長の望月遥香さん(3年)からお礼の言葉が送られました。

「今日はお忙しい中、貴重なお話を聞かせていただきましてありがとうございました。今回の講演のテーマである執念という気持ちは、受験生として日々勉学に励んでいる3年生、未来に希望と不安を抱いている1、2年生にとって、とても大きなエールになりました。今後も今日の講演で学んだこと、感じたことを生かし、無限の可能性を信じて頑張っていきたいと思います」

 野村さんの思いは、生徒たちの心にしっかりと届いたようです。

 引き続き、野村さんの座右の銘である「執念」の文字が大きく書かれた横断幕の贈呈が行われ、柔道部主将の馬場亮君が受け取りました。

 最後は、野村さんを囲んで全員でハイチーズ。記念撮影もバッチリ決まったところで、「ポカリスエット エールキャラバン2017」の第一部・講演会は終了となりました。

▼後編を読む

野村忠宏が長野県で高校生に部活指導。「自分で意識は変えられる。今より厳しい気持ちを持ち続けて」 | 子育て×スポーツ『MELOS』

<Text:菅原悦子/Photo:冨田寿一郎>

《関連サイト》
・ポカリスエット エールプロジェクト
https://yellproject.jp/
・野村忠宏さん公式サイト
http://www.nomuratadahiro.jp/

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