2017年10月18日

野村忠宏が長野県で高校生に部活指導。「自分で意識は変えられる。今より厳しい気持ちを持ち続けて」 (1/2)

 2017年9月20日に、長野県佐久市の佐久長聖中学・高等学校で開催された「ポカリスエット エールキャラバン2017」。日本人初のオリンピック3連覇を成し遂げた柔道界のレジェンド・野村忠宏さんが講師を務め、第一部の講演会に続いて、第二部では部活指導が行われました。

 同校の柔道部は、全国高校柔道選手権大会やインターハイに何度も出場している県内屈指の強豪校。この日は高校生24人、中学生10人、計34人の部員が参加。また道場の外には、隣の中学校の柔道部員や小学生、父兄の皆さんなど、たくさんの見学者も詰めかけました。

《前編はこちら》
・「未来の自分に期待しよう。諦めるのはまだ早い」。柔道家・野村忠宏が高校生たちに伝えた“自分自身を乗り越える方法” 

 練習に入る前に、まずは野村さんを囲んでの集合写真撮影。部員たちの緊張もちょっぴりほぐれたところで、いよいよ90分にわたる部活指導がスタートです。

伝家の宝刀「背負い投げ」を直々に伝授

 今回、生徒たちのために教えてくれるのは、野村さんの代名詞である「背負い投げ」。オリンピックでも、何度も一本勝ちを収めてきた必殺技です。

 野村さんのように軽量級の選手が最も得意とする技ということもあって、「この中で、背負い投げがまったくできない人っている?」と尋ねると、3分の1くらいの生徒が手を挙げました。

 すると、「最近は重量級の選手でも背負い投げのような担ぎ技をやる選手が、世界的にも増えています。自分が使わない技だからといって、その技を研究しなければ、自分が投げられてしまう可能性があります。技の技術を知ることは、攻撃のためだけでなく、防御のためにも大事なんです」と、技の幅を広げることの大切さを伝えました。

 そして、ここからは生徒を相手に実際に背負い投げをやって見せながら、相手と組み合ってから投げ終えるまでの一連の動作を、一つ一つ丁寧に説明していきます。

 最初の留意点は、足の運び方など下半身の動き。野村さんは低い姿勢の背負い投げを得意としており、3ステップでの入り方を指導しました。この時に重要なことは、しっかりと腰を落とし、自分の重心を低くして相手の懐に入り込むことです。この基本姿勢がきちんとできていなければ、相手を投げることはできません。

 アドバイスを受けた生徒たちは、2人1組で技の反復練習「打ち込み」を開始。野村さんはすぐに注意点などを見つけると、その都度、個別に修正していきます。そうした細やかな指導に、生徒たちの顔つきもドンドン引き締まっていきました。

野村流の「引き手」と「釣り手」に挑戦

 次は、相手の袖をつかんで体勢を崩すための「引き手」の使い方。一般的には、引いた手は自分の顔の高さ辺りに持っていきますが、野村さんはあえて自分の頭よりも高いところまで上げるそう。そして、その引き上げた手をまっすぐ伸ばしたままの状態で振り上げて、最後に自分の元まで引き寄せます。そうすることで、自分の力を相手により伝えることができ、最後まで技を決め切ることができるのです。

 下半身の回転に合わせて引き手を大きく使う事を意識しながら打ち込みをする生徒たちに「もっと大きく、大きく!」と、野村さんが声をかけます。

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