2020年3月11日

東日本大震災の復興地・​仙台市~女川町を走る(前編) (3/3)

ゴールが近づいてくる

 真っ暗になる前にヘッドライトやハンドライトを用意。暗い夜空を見上げると、月がとても明るくて幻想的でした。真っ暗になれば星もたくさん見えます。

 やがて女川町に到着。「女川町」と書かれた看板を目にしたときには、「やっとここまで来た」という達成感とともに「もう終わりか」というちょっと寂しい気持ちも。なお、女川付近はあまり人が通ることがないためか、歩道が非常に狭くなっています。さらに工事車両をはじめとした車の往来が多く、周囲には十分な注意が必要です。

 ゴール地点である「女川フューチャーセンターCamass」に到着! スタッフとともに、先にゴールしていたランナーが拍手で出迎えてくれました。ゴールテープを切る瞬間は、皆うれしそうな笑顔に溢れています。

 スタッフは少人数で、しかもその中にランナーは1人もいないとのこと。いわゆるマラソン大会と比べれば、運営面で行き届かない部分はあるでしょう。それでも多くの方々にこの地を訪れてもらおうと、真剣に取り組まれている気持ちが伝わってきました。だからこそ参加者からは、「いい大会だった」「楽しかった」「また来年も来たい」という声が多く聞こえてきます。

 プレ大会と比べ、復興作業の進行によってさまざまな変化がありました。以前あった道がなくなり、新しい道が完成している。あるいは、更地だった場所にお店や家が建っているなど。本大会は年々、走るたびにこうした変化を目にすることとなるのでしょう。そして同時に、運営スタッフにもノウハウが蓄積され、少しずつ進化していくに違いありません。走っている中で、そうした変化が楽しみになる大会でした。

 なお、本大会の魅力は他にもたくさんあります。とくにコース上から見られる景色、そしておいしい海の幸やゴール後のおもてなしなど。後編では、そうした部分にスポットを当てて、本大会の楽しさをご紹介します。

後編:仙女ウルトラマラニックで知った、震災復興地のいま(後編)

・仙女ウルトラマラニック
https://www.semnyo-marathon.info/

[筆者プロフィール]
三河賢文(みかわ・まさふみ)
“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、学生時代の競技経験を活かし、中学校の陸上部で技術指導も担う。またトレーニングサービス『WILD MOVE』を主宰し、子ども向けの運動教室、ランナー向けのパーソナルトレーニングなども行っている。4児の子持ち。ナレッジ・リンクス(株)代表。
【HP】http://www.run-writer.com

<Text & Photo:三河賢文>

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