ロッククライミングができる「野外音楽フェス」。ライブをBGMに、富士山を横目にアクティビティ三昧だった!
今や年間200近くのイベントが開催されているという野外音楽フェス。アーティストのライブを聴きながら、フェス飯とビールでイエーイ!というイメージですが、最近、アクティビティにも力を入れるイベントが増えてきています。音楽と自然を満喫しながらアクティビティも楽しめる。そんなイベントがあるなら行ってみたくなりませんか?
やっぱり楽しい野外フェス
▲(C)SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2017/Photo by 上山陽介
今回訪れたのは、8月25日~27日に山梨県にある山中湖交流プラザ きららで開催された「SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2017」。1996年に東京・日比谷野外大音楽堂でスタートし、2007年から舞台を移して野外フェス化、すでに開催20年を超えた大型音楽イベントです。
会場は富士山を至近に据える山中湖畔。日本一の山をバックに眺めながら音楽に浸ることができる。ロケーションの良さは説明するまでもないでしょう。
今年の来場者は、3日合計で6万7000人を数え、4つのステージに63組のアーティストが上りました。25日にはCMでも話題の「WANIMA」、2年ぶりにライブ活動を再開した「マキシマム ザ ホルモン」、デビュー30周年を迎えた「エレファントカシマシ」が登場。
▲WANIMA (C)SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2017/Photo by 岸田哲平
26日には14年ぶりにアルバムをリリースした「KICK THE CAN CREW」、ライブシーンで人気が加速している「ヤバイTシャツ屋さん」、数々の大型フェスでトリを務めてきた「サカナクション」が。
▲サカナクション (C)SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2017/Photo by 岸田哲平
27日は「[Alexandros] 」「クリープハイプ」「Suchmos」といった現在の音楽シーンの重要バンドが観客を盛り上げ、大トリでは「ゆず」が人気曲を次々に披露。3日間で湖畔を覆った空気をそのままに、夏の終わりにふさわしい熱演を繰り広げました。
▲[Alexandros] (C)SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2017/Photo by 西槇太一
これだけで十二分にも思えるイベントですが、今回注目したのは「アクティビティ」。野外フェスのストロングポイントでもある“野外”を最大限に活用したラインアップになっていました。
アーティストのライブをBGMに遊ぶ!
ここで体験できたアクティビティは3種類。
1つ目は、会場の目の前に広がる山中湖で楽しむ「カヌー」。2人乗りと8人乗りがあり、手に持ったパドルを漕いでスイーッと水上散歩。夏の日差しでキラキラと光る湖面を眺めながら、優しい風が頬をなでる涼感たっぷりな遊びです。
▲体験時間はレクチャー含めて30分。インストラクターが同乗して山中湖に漕ぎ出す
2つ目は、空に浮かび上がる「熱気球」。地上20~30mまで上昇し、富士山や山中湖が広がる風景はもとより、たくさんの人であふれかえる会場全体を見下ろすなんて、ここでしかできない経験です。
湖上か空中かの違いはありますが、どちらも有名アーティストたちのライブを聞きながら、自然を感じる遊びを堪能。かなりの贅沢な体験ではないでしょうか。
そして最後の一つが、同イベントで今年初めて登場した「クライミングウォール」です。
▲クライミングウォール。3日間で500人以上が体験したそう
青空の下に高くそびえるその高さは約8m。壁面にはホールドと呼ばれる突起物が付けられていて、これを手でつかみ、足を乗せて上へ上へと登っていきます。
始める前には、腰回りにハーネスを装着して、落下防止用のロープを接続。壁の頂上から裏側にロープが伸びていてけん引をしてくれるので、突然落ちる心配はありません。もちろん小さな子どもでも、本人が怖がらなければ大丈夫です。
そもそもクライミングって
2020年の東京オリンピックで「スポーツクライミング」が正式種目に決定したことで広く認知されたこのスポーツ。
ボルダリングは聞いたことがあるけれど、スポーツクライミングは違うもの?と疑問に思うかもしれません。ある意味同じで、ある意味では違うものです。
そもそもボルダリングなどを含むフリークライミングとは、岩や壁を登るとき、ルートを制限せず、登る行為の補助となる器具を使わないで自らの手足で登っていくスタイルのことを指しています。このフリークライミングが、安全性の確保のためにロープを使って登る「ルートクラミング」と、ロープを使わない「ボルダリング」に分かれます。
▲こちらは頂上からロープをつなげているため、ルートクライミングに含まれる
登り方という面で「ボルダリング」は登場してきましたが、ではスポーツクライミングとは何でしょうか。
「スポーツクライミング」とは、岩に打たれたボルトのルートを登る、もしくは人工壁を登るクライミングのこと。フリークライミングから冒険性や危険性を極力排除して、整備された環境で行うジャンルとされ、つまり、2つの違いは定義の属性で、ボルダリングは登り方、スポーツクライミングは登る対象によって分類されています。
競技としてのスポーツクライミングは現在、リード、スピード、ボルダリングという3種目。ここでもボルダリングが登場する理由は、自然の岩肌でロープを必要としないコースを手足で登れば「ボルダリング」ですし、人工の壁にロープを使わず手足で登っても「ボルダリング」になるためです。
晴天の下にそびえる岩の柱の裏側
▲クライミングウォールのホールドは、付け替え可能だが増やすことはできないそう
先ほどのクライミングウォール、周囲をぐるりと眺めてみたときに発見がありました。
それは、壁の裏側。
▲クライミングウォールの裏側。壁面は張りぼて、鉄骨で組み上げられている
車両になっています。
こちら、アメリカ発の移動式クライミングウォール。東京・西多摩郡にあるクライミングジム「CARAMBA(カランバ)」が所有するもので、日本国内には数台しかないそうです。
この日は宮城県のイベントに1台、こちらのイベントで1台が稼働していて、週末ともなるとトレーラーにつなげてけん引し、全国各地へと遠征してます。
開催する会場に平地があり、許可さえ出ればどこでも設置できるそうで、自治体や企業のイベントにひっぱりだことのこと。しかも個人でも1日40万円で頼むことができます。資金に余裕があるなら、友人や子ども誕生日パーティに、これを呼んでみるのもいいのではないでしょうか。
▲壁の裏側でハーネスに取り付けたロープを制御している
現在、全国には400を超えるジムがあり、ますます人気の高まりが期待されるボルダリング。どこにでも移動できるクライミングウォールは、今後はさらに多くの野外イベントに呼ばれることでしょう。ジムに行くのも、自然の岩肌を登るのもちょっと……という人は、まずは野外イベントで気軽に体験してみては。
▲(C)SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2017
<協力>
SPACE SHOWER TV
「SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2017 Day1/Day2/Day3」
【Day1】(8月25日収録):10月20日(金)21:00~24:00他
【Day2】(8月26日収録):10月21日(土)21:00~24:00他
【Day1】(8月27日収録):10月22日(日)21:00~24:00他
<Text & Photo:中村某>