2019年1月1日

日本オリンピック史を描く大河ドラマ『いだてん』がついに開幕へ!中村勘九郎&阿部サダヲが語る作品の魅力とは (3/5)

共感というか、憧れに近い感情

――役柄に共感できる部分は、どんなところですか。

阿部サダヲ(田畑政治役):
田畑さんは、すごいせっかちだったそうです。僕もそんなところがある。人より速く歩いたり、エレベーターが待てなかったり、コース料理が苦手だったり。すぐにメイン料理にいきたいんです(笑)。田畑さんはタバコを吸うときも、上下も確認しないで火を点ける方を吸っちゃったりしてたみたい。ドラマにも、そんなシーンがたくさんあります。

中村勘九郎(金栗四三役):
金栗さんは夫婦の関係もかわいいんです。走ることしか考えていないので、心がピュアなんですよね。結婚して奥さんが東京に来たときなんか、走りたいからと奥さんに「帰って」とか言っちゃう。とても大事にしているんですけど、「大丈夫かな、金栗さん」と心配になってしまう。でも、これだけ情熱を注げるものがあったら素敵ですね。共感というか、これは憧れに近い感情です。

阿部サダヲ(田畑政治役):
金栗さんは「絶対にメダルを取る」と頑張った。でも取れなかった。田畑さんは、東京オリンピックを招致するんだと尽力した。実際に東京オリンピックは招致できたけれど、本人は(関係者席からではなく)一般の客席から見るしかできなかった。2人とも、完全には夢を成し遂げていないんですね。それがおもしろいなと思うところです。

周りが「嘘でしょ」と思うくらいの行動力が大事

――ドラマを通じて、勇気づけられた言葉があれば。

中村勘九郎(金栗四三役):
熊本ロケでは、金栗さんの娘さんたちにご挨拶する機会がありました。そのときに「お父さんが帰ってきたごたる」(帰ってきたようだ)と言ってもらえた。僕は天然パーマなんですけれど、金栗さんも癖毛だったらしくて。感動で泣きそうになりました。また足をみて、ふくらはぎが似てるとも。撮影の励みになったし、そのときのことが忘れられません。

――地元には、まだ田畑さんを覚えている人もいるのでは。

阿部サダヲ(田畑政治役):
田畑さんは静岡県浜松市出身。そこで地元の方に聞いてみたんですが、田畑さんを知っている人が少なくて。浜松で開かれた「水泳ニッポンの父 田畑政治展」に行ってみると、フジヤマのトビウオと言われた、古橋廣之進さんの施設の一角に展示されていました。これから自分が田畑さんの役を頑張って演じることで、多くの方に知っていただけたら、と思います(笑)。

――昔の日本人はパワーがすごかったと思いますか。

中村勘九郎(金栗四三役):
そうですね、情熱+行動力。先にも話しましたが、金栗さんは監督もコーチもいないので、練習法も自分で編み出していきました。とにかく、やってみる人でした。

阿部サダヲ(田畑政治役):
周りが「嘘でしょ」と思うくらいの行動力が大事。事態を動かすには、無理ですよ、とか言われるくらいのことをやらなくちゃいけないってことです。田畑さんの特徴は、やりたいことを先に公言しちゃう。東京オリンピックも、必要になるお金のことなんて考えずに「いまの経済では無理でしょ」という状況なのに突き進む。お金は、後からついてくると思っている。だから、こういうドラマになるんですね。僕も「なんだこの人」と思ってもらうくらいの役を作っていきたい。

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