2019年1月1日

日本オリンピック史を描く大河ドラマ『いだてん』がついに開幕へ!中村勘九郎&阿部サダヲが語る作品の魅力とは (4/5)

ドラマと現実の両方で、ワクワク感を共有できたらうれしい

――来年(2020年)、2回目となる「東京オリンピック」が開催されます。そんな現代に生きる私たちですが、1964年当時の人々と感覚の上でリンクする部分はありますか。

阿部サダヲ(田畑政治役):
昭和の当時は、これから東京が発展していくという時代。首都高ができ上がっていく様子など、CGやオープンセットで見ていると心がワクワクしてきます。奇しくも現在、新しい国立競技場が建設中です。ドラマと現実の両方で、ワクワク感を共有できたらうれしいですね。そういえば、大正時代の終わり頃に「次の年号、何になるんだろう」なんて話題になるシーンも出てきます。

中村勘九郎(金栗四三役):
そう。あの場面、とてもおもしろいですよねぇ。

阿部サダヲ(田畑政治役):
今年、平成から年号が変わりますね。あの話が、このタイミングで私たちも実体験できるわけで、非常に興味深いと思っています。

――金栗さんと田畑は、性格は真逆ですが、情熱を失わず突き進むところは共通しています。そうした姿勢を通して、視聴者に伝えたいことは?

阿部サダヲ(田畑政治役):
僕はオリンピックを招致する方。身体が弱くてアスリートになるのは諦めるんだけど、戦争があっても、オリンピック招致は諦めなかった。戦争で日本が負ける。自分が育てていた選手も戦死する。でも、みんなに希望を持たせたい、という思いが強かった。

戦争で国と国がいがみ合っていても、一緒に競技をすることで、アスリート同士は分かち合える部分がある。だからオリンピックが、平和の象徴のような役割を果たす。こういう方たちがいたからこそ、いま私たちは平和に暮らせている。先人の功績ですよね。

中村勘九郎(金栗四三役):
本人はマラソンのことしか考えていないんですが、何事も一途に情熱を注いで突き進んでいけば、きっと何かを成し遂げることができる。金栗さんは、メダルはもらえなかったけれど、その思いは未来(現代)につながった。思いが強ければ必ず何か、大きなものを得られるんだ、ということを感じてもらえれば。個人的には今回、金栗さんの役を演じていてスポーツの見方が変わりました。だからスポーツに関心のない人も、ドラマを通じて見方が変わってくれたらうれしいです。

阿部サダヲ(田畑政治役):
NHKの大河ドラマを変えたい、という思いがあります。日曜日の夜8時という時間帯に、お茶の間に笑いをたくさん持ち込みたいですね。これまでの大河ドラマには、笑うというイメージはなかったでしょう。そこで宮藤さんの大河ドラマです。ボケとツッコミというお笑いではなくて、必死でやっているんですが、ときに笑えてしまうという物語になっています。是非、ご期待いただければ。

『いだてん』がある日曜夜がいまから楽しみ!

 笑いの絶えなかった中村勘九郎さん、阿部サダヲさんによる取材会の様子からも、撮影現場の明るい雰囲気が伝わってくるようでした。

 なおストーリーのナビゲーターとなるのは、なんとビートたけしさんが演じる希代の落語家・古今亭志ん生。明治~大正~昭和を生きた名人が、マクラで「え~、私もこう見えて、ちょいとばかしオリンピックかじったクチでして……」と語り始める、そんな大河ドラマはNHKの長い歴史の中でも初めてではないでしょうか。

▲『いだてん』では、役所広司さん演じる嘉納治五郎など豪華キャストが続々と登場します

 大河ドラマ(第58作)『いだてん ~東京オリムピック噺(ばなし)~』の放送予定は、2019年1月より全47回を予定。日曜日の夜に活力をもらえそうなクドカンワールド、いまから期待が膨らみます。

次ページ:第4回までの「あらすじ」を紹介

1 2 3 4 5