インタビュー
2019年8月17日

リリー・フランキー「田畑政治のように何かをめちゃくちゃ好きなやつって、見ていて気持ちが良いんですよね。好きなものがある人って良い」│『いだてん』インタビュー (3/4)

宮藤さんは水を得た魚のよう

―― 宮藤官九郎さんの書く本のおもしろさは、どのあたりにあると感じていますか。

それは、やはり宮藤さん自体が「真面目なのに、真剣にふざけられる人」だからだと思うんです。宮藤さんには(制作統括の)訓覇圭さんと『あまちゃん』(連続テレビ小説、2013年度)をやったときに「ここまでふざけても大丈夫なんだな」という下地ができた。それを元に今回、『いだてん』に来ているので、歴史を描く中でどうおもしろくするかっていうのは、特に阿部さんの活躍する第2部になってからは、もう水を得た魚のようになっている。

近代劇とは言いながらも時代劇ですから、もう少し“てにをは”を気にして喋るべきなのに、「グルーヴ感が出れば良い」みたいな、そこには暗黙の了解があったりして、時代にこだわりすぎて台本の良さを損なうよりは、「ここは、もう良いか」みたいに、演出陣も含めてなっているところがあるんでしょうね。僕は、細かいこと言われたことないですもん。

『いだてん』はオリンピックの前夜祭として

―― 今回の『いだてん』は、スポーツやオリンピックがテーマ。今作のおもしろさを、どう感じていますか。

大河ドラマでオリンピックの話をやるって、相当ナイスな企画だなと思います。それを、オリンピックが始まる前の年にできる。東京開催が決まってから、企画がスタートしたんですよね。僕はあまり時代劇を見ないので、こういう大河が見たかった。同じ歴史を知るにしても、お祭りの前夜祭としてこれを1年やるということで、良い予備知識になる。

阿部さんが活躍する第2部になってから、現代に時代が近付いてきたから、より生々しくなっている気がします。いまでも毎回、どこで開催されるにしてもオリンピックのきな臭い話って出てくるじゃないですか。でもそれって、昔からあったんだとか。

1984年のロス五輪から商業オリンピックになったと言われています。ところで、イラストレーターのイチバンのアガりの仕事って、オリンピックのキャラクターを描くことだと思うんですよ。ロス五輪のイーグルサムとか、バルセロナのコビーくんとか。今回、公募になったって聞いたんで、絶対に応募しようと思って待ち構えていたんですよ。でも、知らないうちに締め切りが過ぎちゃってた(笑)。だから今の決まったキャラクターは、売店で売ってても見ないようにしています(笑)。悔しいからね。

国対国の戦いに興味がないからなんです

 この後では、今後描かれる二・二六事件についても言及してくれました。ただし、ここからは第31回以降のネタバレを含んでいるので、ご注意ください!

※※【要注意】以下、第31回のネタバレエピソードを含みます※※

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