ゾーンに入って分かった、“集中”のコントロール法│寺田明日香の「ママ、ときどきアスリート~for 2020~」#8 (2/2)
場面によって変わる“集中”の方法
さて、ここまで集中と緊張について書いてきましたが、ラグビーに転向した際に、集中について少し困ったことが起こりました。
前述のとおり、陸上選手のときは自分で緊張状態を作り出し、さらに高い集中状態を作り出す、という作業をしてレースへ臨んでいたのですが、ラグビーのプレー中にその状態を作ってしまうと、周りが見えなくなり、行動の判断ができなかったのです。
ラグビーは、自分のレーンを十数秒間走る陸上(私はハードルでした)とは違って、仲間と一緒に7分間プレーをします。その中で相手の動きを見て、自分たちの状況を判断し、するべきことを考えて、状況によって行動を変えなければいけません。
陸上選手のときのような高い集中状態を作ってしまうと、それらができなくなってしまうのです。なので、集中を切らさない程度の、低すぎず高すぎずという絶妙な集中状態を維持しなければならないのです。
記憶をなくすほどの集中状態を作る事が良いとしてきた私にとって、この絶妙な集中の維持をする事は、なかなか難しいことであり、新たな発見でもありました。スポーツによって、集中の度合いは違っていて、言い換えればお仕事の内容によっても、必要とされる集中の度合いは違っているということなのかもしれません。
だた、集中の度合いが違っていても、緊張と集中のコントロールができるようになれば、さまざまな場面で自分の持っている力を発揮できるようになるでしょうし、「メンタルが弱くて……」と悲観することも少なくなるのではないかと思っています。
《プロフィール》
寺田明日香(てらだ・あすか)
1990年1月14日生まれ。北海道札幌市出身。血液型はO型。ディズニーとカリカリ梅が好き。小学校4年生から陸上競技を始め、小学校5・6年時ともに全国小学生陸上100mで2位。高校1年から本格的にハードルを始め、2005~2007年にはインターハイ女子100mハードルで史上初の3連覇。3年時には100m、4×100mリレーと合わせてこちらも史上初となる3冠を達成。2008年、社会人1年目で初出場の日本選手権女子100mハードルで優勝。以降3連覇を果たす。2009年世界陸上ベルリン大会出場、アジア選手権では銀メダルを獲得。同年記録した13秒05は同年の世界ジュニアランク1位だった。2010年にはアジア大会で5位に入賞するが、相次ぐケガで2013年に現役を引退。翌年から早稲田大学人間科学部に入学。その後、結婚・出産を経て女性アスリートの先駆者となるべく、「ママアスリート」として、2016年夏に「7人制ラグビー」に競技転向する形で現役復帰。同年12月の日本ラグビー協会によるトライアウトに合格。2017年からは日本代表候補として活動している。日本ではほぼ類をみない「世界レベル選手の競技転向、同一シーズン間の競技転向、幼児を子に持つママアスリート」として、2020年東京オリンピックを目指す。◎所属企業:株式会社リブラン
◎所属チーム:千葉ペガサス
◎主な記録:100mハードル日本ジュニア記録(13秒05=2009年世界ジュニアランキング1位)/100mハードル日本高校記録(13秒39)《今後の活動予定》
・9/8(土)・9(日)【出場予定】太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ第3戦@静岡・裾野市運動公園陸上競技場 ▶詳しくはこちら
・10/13(土)・14(日)【出場予定】太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ第4戦@三重・三重交通G スポーツの杜 鈴鹿 サッカー・ラグビー場 ▶詳しくはこちら【関連URL】
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<Text&Photo:寺田明日香/Photo:川口雅史(メイン写真&フィールド写真)/Edit:アート・サプライ>