2019年4月10日

効果も気になるけど、自分なりの達成感を味わえるのが運動の醍醐味│連載「甘糟りり子のカサノバ日記」#27 (2/2)

 Bluetoothのスピーカーが置いてあるので、自分のiPhoneで好きな音楽をかけます。流行りの J-POPだったりなつかしのディスコやロックだったり、時にはハウスやテクノだったり。そうだ、『雨に唄えば』をかければ、気分はますます『時計じかけのオレンジ』ですね。もしかして、私にとってここは、心のコスプレをする場所なんだろうか。

 定期的にメニューは見直しておりますが、ジムでは決まったことをこなすのが好きです。今は、まずアップを兼ねてジャンプ・スクワットをして、マシーンで腹斜筋、腹直筋、ベンチプレス、マシーンで背筋(ラットプルダウン)、最後はデットリフト。25回を3セットのメニューと、30回を2セットのメニューがあります。以前、都内でとあるジムに通っていた時、ついつい負荷を上げるのに夢中になり、スラッガーのような体型になってしまったことがあって、そうならないよう、回数をたくさんできる負荷を心掛けています。

 1セットごとに1分半〜2分のクールダウンを入れ、メニューとメニューの間はマットでストレッチをします。こんなことをしていると小一時間なんてあっという間。できるだけ気軽にトレーニングに来る習慣をつけようと、一回に時間をかけすぎないようにも気をつけているのですが、いざここに来ると、せっかくだからこれもあれも、となってしまう。今日は体調が今一歩だから腹筋と背筋だけ、なんて思っていても、汗をかいていると体調が良くなっていく気がするんです。

 何しろ一人ですからね。フリーウエイトの時は注意深くしなければなりません。最初の頃、わりと重い負荷をつけたバーベルでスクワットをして、15回を終えた瞬間、「あ、これは誰も受け取ってくれないんだ」と気がつき、途方もない気持ちになったことがあります。挙句、そうっとしゃがみこんで後ろに放り投げました。スクワットにしろベンチプレスにしろ、潰れてしまっても誰も助けてはくれません。おかげで重さに用心深くなり、筋肉がつきやすい(=ゴツくなりやすい)私にはちょうどいい気がしております。

 さあ、今日も孤独と負荷と仲良くしにいってきます!

《お知らせ》
甘糟りり子さんの新著『鎌倉の家』の世界観を再現する企画展「鎌倉の逸品物語」が、代官山 蔦屋書店にて期間限定で開催中! 甘糟さん本人が愛用品をはじめとする「逸品」をセレクトし、販売。また「鎌倉の家」に登場する食卓や花器の再現したディスプレイも。本から広がる、鎌倉的空間を楽しめる内容に。

「鎌倉の逸品物語」
開催期間: 2019年3月20日(水)~4月19日(金)
会場:代官山 蔦屋書店 人文フロア(渋谷区猿楽町17-5)

[プロフィール]
甘糟りり子(あまかす・りりこ)
神奈川県生まれ、鎌倉在住。作家。ファッション誌、女性誌、週刊誌などで執筆。アラフォーでランニングを始め、フルマラソンも完走するなど、大のスポーツ好きで、他にもゴルフ、テニス、ヨガなどを嗜む。『産む、産まない、産めない』『産まなくても、産めなくても』『エストロゲン』『逢えない夜を、数えてみても』のほか、ロンドンマラソンへのチャレンジを綴った『42歳の42.195km ―ロードトゥロンドン』(幻冬舎※のちに『マラソン・ウーマン』として文庫化)など、著書多数。『甘糟りり子の「鎌倉暮らしの鎌倉ごはん」』(ヒトサラマガジン)も連載中。河出書房新社より新著『鎌倉の家』が刊行。

<Text & Photo:甘糟りり子>

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