2021年6月28日

“ライオンの金メダル”を愛娘に。家族とチームあすかで辿り着いた、最長ブランク11年ぶり日本一【寺田明日香×日本選手権 現地レポ】 (2/2)

悲願の「ライオンの金メダル」を愛娘・果緒ちゃんにプレゼント

 第1次陸上選手時代、インターハイ3連覇、日本選手権3連覇、世界陸上出場、アジア選手権での銀メダル獲得など若くから活躍を続けていた寺田選手が相次ぐケガ・病気で現役を引退したのが2013年のこと。その後、結婚・出産を経て「7人制ラグビー」に競技転向する形で現役復帰しました。

 そして2018年12月、ラグビー選手としての引退と陸上競技への復帰を表明。コーチやトレーナー、栄養士ら各分野の専門家を集めた「チームあすか」を結成し、第2次陸上選手がスタートしました。2019年シーズンから競技会に出場し、同年9月に史上初めて13秒の壁を突破し、12秒97の日本新記録を樹立。カタール・ドーハで開催された世界陸上にも出場するなど、陸上復帰後、目覚ましい活躍を見せてきました。

 決勝レースを終えた囲み取材で「11年前になくて、いまの自分にあるものは?」と問われた寺田選手は、「(第1次陸上選手時代と違うのは)ほんとに、(まわりの)人の力があるのかなと思っています。自分だけの力じゃなくて、いろんな方々の力を借りることができている」とコメント。家族、チームメイトら多くのサポートがエネルギーになり、原動力になっていることを改めて感じていると話していました。

▲今大会、観客席から見守った峻一さんと果緒ちゃん

 大会終了後には、応援団長である愛娘の果緒ちゃん、夫の峻一さんに優勝を報告。念願だった「”初の“ライオンの金メダル」を果緒ちゃんにプレゼントすることができました。

▲金メダルをかけてもらった果緒ちゃん

▲寺田選手を支える「チームあすか」のメンバーと

 大会前、夫の峻一さんがMELOSのコラムで明かしてくれていましたが、「ライオンの金メダル」について、以下のようなエピソードがあったのです。

 これはこぼれ話なのですが、実は日本選手権で与えられるメダルは2011年から現在のデザインになっています。ハードル種目の同じ「日本選手権」では、2020年から設けられた「日本選手権室内」もあり、寺田は60mHで2020年は2位(8秒14)、2021年は5位で、いずれも優勝を逃しています。

 寺田が最後に日本選手権を制したのは2010年。つまり、百獣の王・ライオンが大胆にあしらわれた現在の重厚感あふれるデザインでの金メダルを寺田は獲得したことがありません。

 寺田の陸上競技復帰以来、娘が欲しがっている「ライオンの金メダル」は、日本選手権の勝者にしか与えられない名誉あるもの。実に11年ぶりとなる優勝を果たして、初の「ライオンの金メダル」獲得は悲願でもあります。

▶コラム「寺田明日香、いざ日本選手権へ! 夫兼マネージャーが見どころを解説します!」より

▲寺田選手が会場から出てくるのを待つ間、木の枝で果緒ちゃんが作ったメッセージ「アスカママ 金メダルオメデトウ」とともに

 今大会を通じて、課題も手応えも見つけた寺田選手とチームあすか。みんなで狙う目標は、オリンピック出場ではなく、「オリンピックのファイナリストになること」です。まずは代表内定の吉報が届くのを待ちましょう!

【▼寺田選手によるエッセイ連載のアーカイブはこちら】
・寺田明日香の「ママ、ときどきアスリート〜for 2020〜」

<Text & Photo:編集部>

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