「やよい軒」、 “次世代肉”を使った定食発売へ。大豆ミートで食の選択肢を増やす狙い
定食レストランチェーン店No1の「やよい軒」。ごはんのおかわり自由ということで、日常使いしている人も多いかと思います。そんなやよい軒から、100%植物性の次世代肉“大豆ミート”を使った新メニュー3種が、6月14日(火)から発売されます。この定食には、大ヒットを記録したコンビニ商品『たんぱく質10gの豆腐バー』を開発した株式会社アサヒコの大豆ミートが使用されています。
なぜやよい軒は、次世代肉を使った定食を開発したのでしょうか。2022年6月7日(火)に行われた新作発表会の内容とともに、開発に至った背景をお届けします。
すべての始まりはアサヒコ「大豆ミート」との出会い
定番の人気定食3種の肉を、価格はそのままに大豆ミートへ置き換える。この新たな挑戦に至ったきっかけについて、やよい軒を展開する株式会社プレナスのマーケティング本部 商品開発部 外食商品開発課 課長の大谷信晃(おおたに・のぶあき)さんは次のように語ります。
「アサヒコさまの大豆ミートとの出会いがすべての始まりでした。それまで大豆ミートは試したことがなく、人づてで美味しいよと勧められ、興味本位でアサヒコさまの大豆ミートを食べさせていただきました。しっかりとした厚み、食べごたえ、大豆の匂いも抑えられ、柔らかく、お肉のような再現ができているなと感じました。これであればやよい軒のお客様にもご満足いただける定食が開発できるのではないかと。また、大豆ミートを採用することで、健康的な食事をしつつ満足感を満たしたいというお客様のアプローチや、既存のお客様はもちろん、新規のお客様も利用いただけるきっかけを作りたいと思っています」(大谷さん)
大谷さんが感動したアサヒコ大豆ミートは、アサヒコのグループ会社であるアメリカ法人で開発されたノウハウを生かし、良い部分をとり入れつつ、より日本人好みの味と食感を追求して生まれたそう。外観から厚み、ジューシーさ、引っ張ったときの強度にいたるまで細かな研究がされています。同社試験では、他社の大豆ミートと比べ、より本物のカルビに近い物性を有することが確認されています。
しかし、そんなアサヒコ大豆ミートをもってしても、今回の新メニュー開発にはかなりの試行錯誤があったと言います。
「(開発の)お話をいただいたのは1年くらい前」
共同開発を行った、株式会社アサヒコ プラントフォワード事業部部長 兼 マーケティング室長の池田未央(いけだ・みお)さんは次のように語ります。
「すでにある人気メニューの植物化ということで、それを食べられている方が選択肢として召し上がっていただけるように、お肉の食べ応えにこだわりました。ものさしみたいな器具で1枚ずつ厚みを測ってサイズを決めたり、食感という点でも、お店で食べるときに一番おいしくなるように事前の下処理を何度も調整しました」(池田さん)
厚みや軟らかさ、引張強度(噛み心地の強さ)などを何度も調整し、お店で出す通常のお肉に近い味・ニオイ・食感に近づけたそう。中でも、もっとも苦労した点は味つけ部分であると大谷さん。
「3種類の定食の良さが損なわれないよう、味のマッチングに重きを置いて何度も試作を繰り返しました。連日サンプルをお持ちいただく感じのスピード感でしたね」(大谷さん)
大豆特有の臭いに奮闘し、試作を繰り返し、新しいサンプルをやりとりするスピード感もすごかったと語ります。とはいえ味つけで大豆くささを完全に消すということではなく、大豆ミートのよさも活かすため、少し甘味を感じさせる「甘辛さ」をつけることで全体の風味を整えたそう。
苦難を乗り越えた先のテスト販売は好評で、とくに50~60代の女性から高い評価を得る結果となりました。
「とくに50~60代女性を中心に、大変ご評価をいただきました。本物のお肉のようだ、味付けが既存の商品に近いというお声もいただきました。野菜と一緒に食べることでの相性も、評価につながるようだと学びました」(大谷さん)
動物性と植物性どちらも選べることで、多様化する食のニーズにも対応していけそうですね。食事における選択肢が増えるのは、消費者にとってとてもうれしいことです。
「食感や味つけなど細部に渡ってご調整いただき、納得のできる商品ができあがりました。やよい軒初の大豆ミートを使用した商品となりますので、自信をもってご提供させていただきます」(大谷さん)
今回の発表会にて『肉野菜炒め定食』を試食したところ、大豆ミートのジューシーさに驚きました。柔らかいのに噛み応えがあり、噛むたびに濃いめの味つけがじゅわっと広がります。これはごはんに合う!
『肉野菜炒め定食』、『しょうが焼き定食』、『なす味噌と焼魚の定食』は、2022年6月14日(火)より発売されます。なお、同日よりおうち定食として『[テイクアウト]大豆ミートの野菜炒め』も販売されます。価格は730円です。
参考:アサヒコ豆腐バー、大ヒットの背景とは。サラダチキンの隣に陳列し“植物性タンパク質”をアピール
<Text&Photo:編集部>