運動すると気持ち悪くなるのはなぜ?吐き気の原因は「スポーツ性貧血」かも (2/2)
—男性が貧血になる場合はありますか?
ありますが、女性に比べて圧倒的に少数です。鉄というのは、基本的に体の外に逃がす方法がありません。生理か、腸の粘膜が剥がれて便として出てくる。それくらいなんです。
ですので、男性で『鉄欠乏性貧血』になった場合は胃潰瘍や胃がん、大腸がん、痔など、出血する病気を疑った方がいいと思います。
自分が貧血かどうか疑うことが大切
—食生活で気をつけるべきポイントはありますか?
食材にはヘム鉄と非ヘム鉄を含んでいるものがあります。ヘム鉄はレバーや赤身の肉、マグロやカツオなどに含まれていて、吸収率が良く効率的に鉄分をとれます。
非ヘム鉄は緑黄色野菜や大豆製品、貝類に含まれています。それぞれ小腸で吸収されるチャンネルが違うので、どちらもバランス良く食べることが大切です。
なんでもバランス良く食べて、1日に必要とされるカロリーをしっかりとること。これが一番重要です。
—貧血を避けるために、ほかに注意すべき点はありますか?
一度、自分が貧血かどうか疑ってみることが必要だと思います。先ほどもお話したように、日本人女性の大多数は『鉄欠乏』になっています。多くの人は貧血状態が日常化し、自分が貧血だと気づいていないんです。
軽い貧血のアスリートも実は大勢いて、貧血が原因で充分なパフォーマンスができていない場合もあります。しかし、それを治療することで成績が伸びることもあるかもしれません。
繰り返しになりますが、スポーツをする人が貧血になったからといって『スポーツ性貧血』でひとくくりするのは推奨しません。なにが要因なのかしっかり探り、適切な治療を行うことが大切だと思います。
監修者プロフィール
鈴木謙(すずき・けん)
東芝病院血液内科部長、総合内科部長、臨床検査部長。1986年東京医科歯科大学医学部卒。『貧血の人のおいしいレシピブック』(保健同人社)、『貧血の人の基本の食事』(学研パブリッシング)の医学監修も務める
<Text:アート・サプライ>