ヘルス&メンタル
2025年2月10日

愛情ホルモン「オキシトシン」を増やすには?専門家が教える簡単な方法 (4/4)

意外! 愛情ホルモンが増えすぎるがゆえのデメリットも

もう一つ、オキシトシンについて面白い話。実は、オキシトシンが増えすぎると困ったことが生じます。それは、オキシトシンで繋がった相手を守る気持ちが強まるが故に、攻撃性も高まってしまうということ。

子どもの存在で夫婦仲が悪くなったり、子どもを守るために学校などにクレームを言ったり……という具合に。彼氏や彼女ができると周囲との付き合いが悪くなるというのも同じです。

限られた対象との「閉じた関係」を強めてしまうとオキシトシンも困りものなので、広い関係性の中でオキシトシンの循環を作り出したいですね。

最近は男性の育児参加も進み、赤ちゃんのお世話を積極的にすることで男性もオキシトシンがどんどん分泌されています。先に述べたように、夫婦仲に悪影響が出ないように、共に子どもを育む仲間として、夫婦の触れ合いも大事にしたいものですね。

オキシトシンが減ってしまう環境や要因とは

オキシトシンが減少する状況や要因もあります。

たとえば慢性的なストレスや不安、孤独や社会的つながりの欠如が挙げられます。また、トラウマや心理的ショック、信頼を損なう出来事、睡眠不足、慢性疾患や炎症などの身体的な不調も影響します。

さらに、アルコールの過剰摂取や薬物乱用といった悪習慣もホルモンバランスを崩し、オキシトシンの分泌を妨げる可能性があります。

オキシトシンが不足すると、どんな症状が起きやすくなる?

オキシトシンが不足すると以下のような影響が出ることがあります。

  • 孤独感や不安感が強くなる
  • パートナーや家族への愛情を感じにくくなる
  • 性的満足感の低下
  • ストレス耐性が低くなる
  • 抑うつ的な気分が続く
  • 人間関係に消極的になる

このような状態が1か月以上続く場合、または耐えがたいつらさ、日常生活に支障をきたしていると感じたときは、医療機関や専門家に相談してください。

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海外ではオキシトシンの点鼻薬などが治療で使われることがあります。日本ではまだ認可されていませんが、もしかしたら日本においても投薬によるサポートが得られるようになるかもしれません。

しかし、これまで見てきたように、薬に頼らずともオキシトシンの分泌は促せるものです。今の生活スタイルを振り返り、健康を維持できる環境を整えましょう。

何より「自分を大事にすること」が一番の薬となります。頑張っている自分をなでなでしてあげてください。

監修者プロフィール

鎌田怜那(かまだ・れいな)

一般社団法人マミリア代表理事。臨床心理士、公認心理師。

【資格】
・臨床心理士
・公認心理師
・小学校教諭
・保育士
・ストレスチェック実施者
・アタッチメント・ベビーマッサージ インストラクター
・アタッチメント・マタニティヨガ、ベビーヨガ インストラクター
・アタッチメント・キッズジム インストラクター
・ドテラ アロマタッチテクニック
・食育大学認定初級調味料アドバイザー
・日本睡眠教育機構 睡眠推進員
・陰性感情トレーニングエグゼクティブトレーナー

【所属学会・協会】
・日本臨床心理士会
・日本公認心理師協会
・日本心理臨床学会
・日本アタッチメント育児協会

公式サイト https://mamilia.jp/

<Edit:MELOS編集部>

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