
意外!梅干しを食べると「自律神経が整う」理由 (2/2)
梅干しを食べると「自律神経が整う」のか?
梅干しを食べることで自律神経が直接整うわけではありませんが、間接的に自律神経のバランスを整える作用は考えられます。
クエン酸が疲労物質を分解し、ストレス緩和をサポート
梅干しに多く含まれるクエン酸は、エネルギー代謝を高め、疲労感の軽減に役立つとされています。
身体の疲れが軽減されると、交感神経(緊張)から副交感神経(リラックス)への切り替えがスムーズに。これが「自律神経のバランスが整いやすくなる」ことにつながると考えられています。
酸味の刺激で唾液や胃酸が分泌。消化が促進され、胃腸が整う
自律神経は胃腸とも密接に関係しています。
梅干しの酸味によって唾液や胃液の分泌が促進されることで、消化機能が活性化しやすくなります。胃腸の調子が整うことで副交感神経が優位になり、自律神経の安定につながる可能性があります。
香りや味の刺激でリラックス効果が得ることができる
梅干しの独特な香りや味は、脳の視床下部(自律神経の中枢)に刺激を与えるとされています。これはアロマやお茶と同様に、味覚・嗅覚刺激によるリラックス効果として働く場合があります。
腸内環境を整える(梅干しの殺菌作用・整腸効果)
梅干しには殺菌・抗菌作用があり、腸内の悪玉菌を抑え、腸内フローラのバランスを整える作用が期待されています。
腸は「第二の脳」とも呼ばれ、自律神経やストレスと深く関係しており、腸の調子が良くなることで心身も安定しやすくなります。
どうやって摂るのが効果的? おすすめの食べ方とタイミング
梅干しは朝・昼・夜いつ食べるのがよいのでしょうか。食べ物なのでいつでも問題ないですが、それぞれの時間帯で見た梅干しの活用術をお届けします。
◆朝に食べる →「スイッチON」&代謝アップに
朝は自律神経が切り替わるタイミング。梅干しに含まれるクエン酸エネルギー代謝をサポートするとされており、朝の活動リズムを整える助けになる可能性があります。
◎おすすめの食べ方
ごはん+梅干し+納豆(疲労回復&整腸トリオ)
梅干し入りのおにぎり(外出前でも手軽)
◆昼に食べる →「食後のだるさ」をリセット
塩味と酸味のバランスがよい梅干しは、気分をシャキッと立て直すのにおすすめです。
また一部の研究では、梅干しに含まれる梅肉エキスに血糖値の急上昇を抑える可能性が示唆されており、糖質を含む食事とあわせて取り入れることで、血糖値の安定にもつながる可能性があります(※1)。
(※1)紀州梅効能研究会 梅肉エキスの糖尿病に対する医学的効果
◎おすすめの組み合わせ
梅干し+麦ごはん+鶏肉やサバなどのたんぱく源
◆夜に食べる → 副交感神経を優位にしてリラックス
「今日は疲れたな」という夜には、梅干し+温かいものの組み合わせがおすすめ。リラックスモードへ導いてくれます。
◎おすすめの食べ方
白湯 or お茶+梅干し(「梅湯」として)
梅干しと一緒に食べるとさらによし! 栄養面で相性がいい食材
梅干しと食べ合わせのいい食べ物は以下の通り。
梅干しに含まれるクエン酸は、鉄分やミネラルの吸収を助ける作用があるとされており、たんぱく質や海藻類との組み合わせは理にかなっています。
■納豆・豆腐・卵などのたんぱく質:クエン酸が吸収を高め、疲労回復を後押し
■海藻類(わかめ、昆布など):ミネラルと食物繊維で腸活にもおすすめ
■玄米・雑穀米:ビタミンB群とクエン酸でエネルギー代謝がスムーズに
逆に、食べ合わせが悪い食べ物は「しょっぱいもの」です。
梅干しは塩分が多いため、同じく塩分の多い食品と一緒に摂ると、塩分過多になりやすく、高血圧やむくみのリスクが上がる可能性があります。
なお「うなぎ」「天ぷら」は梅干しと一緒に食べてはいけないというのは迷信です。むしろ梅干しのクエン酸が脂の消化を助けることもあるため、好相性という説もあります。
食べ過ぎには注意! 一日何個まで? もし食べ過ぎるとこんなデメリットも
体にいいとはいえ、梅干しは「適量」が大切。目安としては1日1〜2個までがちょうど良いとされています。
理由は、塩分が多いという点。とく昔ながらの梅干しには1粒あたり2〜3g程度の塩分が含まれていることもあり、食べ過ぎると高血圧やむくみの原因になる可能性があります。とくに高血圧や腎疾患のある方は、医師と相談のうえ塩分摂取量に注意してください。
また、クエン酸の摂りすぎは胃への刺激が強くなるため、空腹時に何個も食べるのは避けた方がよいでしょう。
はちみつ梅干しや減塩タイプでも効果は期待できますので、自身の体調や好みで選んで問題ありません。
おいしくてつい手が伸びがちですが、「ちょっと物足りないくらい」で止めておくのが、梅干しと上手につきあうコツです。
監修者プロフィール
安江千尋
天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック院長。
防衛医科大学校卒業後、同大学病院、自衛隊病院を経て、がん研有明病院にて下部消化管内科副医長として勤務。2024年、大阪・天王寺に消化器内視鏡専門クリニックを開院。大腸がんの予防・早期発見に取り組む一方、便秘・過敏性腸症候群など、自律神経の影響を受けやすい機能性疾患にも多く関わる。生活習慣や食事、ストレスとの関連を踏まえた総合的な診療を心がけている。
<Edit:編集部>