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ヘルス&メンタル
2025年9月11日

毎日がつまらないと感じるのはなぜ?やばい?脳神経外科医の見解 (1/2)

「毎日がつまらない」と感じているとき、脳はどのような状態なのでしょうか。

脳神経外科医・医学博士、SOグレイスクリニック院長・近藤 惣一郎先生はこう答えます。

毎日がつまらないと感じるのはなぜ?

「退屈感とは、脳をワクワクさせる『ドーパミン』という物質が足りなくなり、意欲や創造性を担う『前頭前野』の働きが鈍っている状態です。刺激が少ない生活が続くと、この仕組みで気分が沈みやすくなります。

さらに、否定的な思考を繰り返すとその神経回路が強化され、ますます毎日がつまらないと感じやすくなります。脳の仕組みを理解すれば、退屈から抜け出す手がかりが見えてきます」

脳科学的に「毎日がつまらない」とは?

退屈感の正体は脳の働きにあります。脳の仕組みを知ることで、なぜ毎日が灰色に感じられるのかを理解できます。

前頭前野の活動低下

前頭前野

前頭前野は、「意欲」や「計画性」を生み出す司令塔です。同じ行動ばかり繰り返すと活動が鈍り、やる気が出にくくなります。新しい経験を避け続けると、脳はさらに省エネモードに入り、退屈感が強まります。

ドーパミン分泌の不足

ドーパミン

ドーパミンは「快感物質」と呼ばれ、「達成感」や「ワクワク」をもたらします。刺激が少ない日常では分泌が減り、楽しみを感じにくくなります。小さな挑戦や新しい学びは、ドーパミンを引き出すスイッチになります。

セロトニンの不足

セロトニン

セロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれ、精神の安定や満足感を支えます。不足すると気分が沈みがちになったり、不安感が増したり、全体的な幸福感が低下することがあります。これにより、日々の出来事に対する肯定的な感情が薄れ、「つまらない」と感じやすくなります。

日光を浴びる機会の減少や運動不足、腸内環境の乱れがセロトニン不足の大きな要因です。

ノルアドレナリンのバランスの乱れ

ノルアドレナリンは集中力や覚醒に関わり、適度であればパフォーマンスを高めます。しかし不足すると無気力につながり、逆に過剰だと常に緊張状態で疲れやすくなります。どちらに偏っても、日々の出来事に刺激を感じにくくなり、退屈感が強まります。

報酬系の反応低下

報酬系とは、脳が目標達成や快感を得たときに活性化し、ドーパミンを放出することで「これは良いことだ」と学習し、次も同じ行動を取るように促すシステムです。

日常生活で十分な達成感や喜びを感じる機会が少ない、または、刺激の多い活動(例: 過度なゲームやSNS)によって報酬系が過剰に刺激され続けると、通常の活動では満足感が得られにくくなります。これにより「何をしてもつまらない」という感覚に陥りやすくなります。

ネガティブ思考の回路強化

「つまらない」「面倒だ」といった思考を繰り返すと、脳内の神経回路が固定化されます。その結果、否定的な感情が自動的に強化され、さらに退屈を感じやすくなります。

孤独による幸福回路の低下

オキシトシン

人とつながるとオキシトシンが分泌され、安心感や幸福感が生まれます。孤独や希薄な関係は、この回路を弱めてしまいます。信頼できる人との関わりは、脳の健康にも不可欠です。

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