ヘルス&メンタル
2025年10月6日

発達障害と“グレーゾーン”はどう違う?診断はつかないけれど生きづらい…境界線とは (1/2)

「発達障害」と診断されるほどではないけれど、日常生活で困りごとや生きづらさを抱えている――。そんな人を指す言葉として使われるのが“グレーゾーン”です。

見た目にはわかりづらく、診断がつかないため支援に結びつきにくいこともあり、「自分はなぜうまくいかないのだろう」と悩みを抱える人も少なくありません。

では、発達障害とグレーゾーンは具体的にどう違うのでしょうか? その境界線や、生きづらさを軽くするためにできることとは。医療法人社団燈心会理事長・ライトメンタルクリニック渋谷本院院長の清水聖童先生監修のもと、見ていきましょう。

──発達障害と“グレーゾーン”は、具体的にどう違うのでしょうか?

発達障害とは、医学的な診断基準に基づいて明確に定義される神経発達症群の一つであり、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)などが含まれます。

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発達障害の方は、行動面の特性が比較的はっきり見えることが多く、集団行動での困難や強いこだわり、注意の持続困難などが目立ちやすい傾向があります。

一方、“グレーゾーン”とは、正式な医学用語ではありませんが、診断基準を完全には満たさないものの、発達特性に近い傾向などがあり、生活に支障が出ている状態を指します。

グレーゾーンの方は、苦手なことを努力でカバーするなどし、周囲に気づかれにくいのが特徴です。ただし、人前では問題なさそうに見えても、家では強い疲労や情緒の不安定さが出るといったことがあります。

──医師の診断がつく場合と、つかない場合の境界線はどこにありますか?

診断がつくかどうかの境界線は、症状の強さ・持続性・日常生活への影響といった点で判断されます。

明確な困りごとがあり、それが本人の社会生活や学業・仕事に顕著な支障を及ぼしている場合、診断がつく可能性が高くなります。

逆に、類似の特性はあるものの、支援なしでも適応できている、もしくは困りごとが一過性である場合には、診断に至らないことがあります。

次:グレーゾーンは存在しないという説は?

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