
ヘルス&メンタル
2025年10月6日
発達障害と“グレーゾーン”はどう違う?診断はつかないけれど生きづらい…境界線とは (2/2)
──グレーゾーンは存在しないという説もありますが、見解をお願いいたします。
発達の特性は人によって強さや表れ方に違いがあることから、発達障害があるか、ないかというようなはっきりした線引きではなく、誰もが発達特性の「程度の違い」を持っているという見方が一般的です。
グレーゾーンは、診断基準上は存在しないとしても、臨床的・支援的な現場では存在しているとみなすべきと考えます。
──いわゆるグレーゾーンの方が日常生活で直面しやすい困難には、どのようなものがありますか?
見た目や表面的なコミュニケーションに大きな問題がない場合が多いものの、例えば次のような困難に直面しやすい傾向があります。
- コミュニケーションの微妙なニュアンスが読み取りにくい
- 物事の優先順位付けやスケジューリングが苦手
- 感覚の過敏(音、におい、人混みなど)
- 集団行動での疲労・ストレス
- 自己肯定感の低下や不安感
──グレーゾーンの人に対して、社会全体としてどんなサポートや理解が求められると感じますか?
グレーゾーンの人に対して、たとえば以下のようなサポートや理解が求められると考えます。
- 一律な基準ではなく、個々の多様性に応じた柔軟な配慮(例:静かな空間の提供、明確な指示の工夫)
- 診断の有無にかかわらず、必要に応じた支援の提供ができる社会制度
- 発達特性に対する知識が社会に共有され、見えにくい困難への理解や柔軟な対応のできる文化が醸成されること
「周囲の無理解や無意識の言動が大きな負担になる」専門家が語る5つのNG
清水先生は次のように語ります。
「グレーゾーン」の方には、周囲の無理解や無意識の言動が大きな負担になることがあります。とくに避けるべきこととしては以下が挙げられます。
- 「それくらい普通はできる」など、困難の否定
- 表面的な印象だけで、問題ないと決めつけること
- 「みんなと同じように」と無理に周囲への適応を求めること
- 特性をからかうような言動
- 配慮を「特別扱い」や「甘え」とみなすこと
また、本人の同意なく診断や特性に言及することも避けるべきです。
監修者プロフィール
清水 聖童先生
医療法人社団燈心会理事長・ライトメンタルクリニック渋谷本院院長。心理療法、生活習慣、栄養学など幅広い知識を背景とした精神予防医学を専門とし、病前から介入する精神医療を模索したクリニック「ライトメンタルクリニック」を立ち上げる。メンタルヘルスに関する記事監修や講演、取材対応も積極的に行い、専門的な知見を広く発信している。
公式サイト https://light-clinic.com
<Edit:編集部>
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