スポーツに香りをプラスして集中&リラックスをコントロールできるのか(前編) (2/2)
苦労したのはエビデンス収集・解析と特許申請
― 「スポーツと香り」のプロダクトでは、何が一番大変だったのでしょうか。
家現:苦労した点は、エビデンスの取得と解析、そして特許申請です。総勢200名の方にご協力いただき、香りに関するアンケートで主観的な意見やコメントを回収、パフォーマンステストでは、セントテーピングを装着時と未装着時の両方で同様の運動をしていただきエビデンスデータを集めました。
▲200名の方に協力してもらったエビデンスの取得時のひとコマ
平均値として上がっていても、統計的に有意でないものはカット、更にアンケートの結果との相関性が低いものもカットしたので、だいぶハードルは高く設定していたと思います。セントテーピングに関して公開しているデータはそこまで絞った上で根拠をもって示せるデータ、過度な表現や誇張はしないというのがメーカーとしての責任ですし、こだわりでもあります。
特許に関しては、自社製品で取得するのが初めてであったことや、製品テストの過程を振り返りながら文章でまとめていくのに大変苦労しました。特許の先生や試験の監修を頂いた古賀教授には大変感謝しています。
―公開されていないデータも、たくさんあるということでしょうか。
家現:たとえばバスケットボールのスリーポイントシュートや野球のストラックアウトの結果は公開していないですね。このあたりのテストは、平均的にはスコアが上がるという結果が出たのですが、統計的にばらつきが大きく、最終的にはカットとなりました。
― セントテーピングに使われている香りは、どのようにして決まったのですか。
家現:試した香りの数は、100点前後になります。そこからスポーツに効果を出す以前に、良い香りじゃないものは発売できないので嗜好性でスクリーニングして、27点まで絞り込んで開発を続けました。
― 確かに。香りは人それぞれ感じ方が違いますよね。
家現:そうですね、人それぞれ感じ方が違う中で、セントテーピングの香りは多数の嗜好性が得られ、且つテーマにあう香りになっていると思っています。27点のサンプルを選んでからは、「リラックス」、「集中」、「覚醒」というテーマを設定して、そのイメージにあうという条件で3点に絞り込みました。
最終的に2点に絞り、その後はテープ自体の素材の改良と合わせて、塗布方法なども考慮しながら香りのブラッシュアップを行い、今の香りになりました。苦難も多かったのですが、古賀教授からデータについて、パーフェクトというお言葉をいただけたのはうれしかったです。
▲杏林大学名誉教授/NPO法人日本ブレインヘルス協会会長 古賀良彦さん。開発では脳の動きを測定しデータ化
― そこから一気に発売までたどり着いたということですね。
家現:そうですね。プロジェクトチームがどんどん結束していくのを感じましたし、それぞれのメンバーが自分の役割を果たしていくことで益々スピードが加速しました。最後はプロジェクトメンバーだけでなく、会社が一丸となってこの「エクストラフォーカス」と「エクストラリラックス」、2つの香り製品の発売まで辿り着けたと思っています。
古賀良彦名誉教授(以下、古賀):良いと感じる香りが、多くの人のスポーツシーンでパフォーマンスをアップする効果がある。言葉にすると難しい感覚的な部分もありますが、効果があるとデータで実証できたことは大きかったですね。
― 香りは人間の身体だと、どこに影響しているのですか。
古賀:香りが影響を与えるのは、脳です。脳が活性化することで運動能力、パフォーマンスを上げています。
香りが脳に与える影響と、運動能力があがるメカニズムは後編で紹介します。
⇒後編へ続く!
《関連サイト》
フィッツコーポレーション
http://www.fits-japan.com
<Text:松田政紀(アート・サプライ)/Photo:小島マサヒロ>