2021年10月26日

みんな知ってる「ラジオ体操」の効果とは。全国ラジオ体操連盟に聞いてみた (2/2)

――夜にラジオ体操する場合、健康面でどんな影響がありそうでしょうか?

パソコンにずっと向かっていたりして、自律神経が過酷に使われていると、夜になっても興奮して眠れない、そういう状況が出てきます。そこで眠るためにアルコールを一杯飲んだりするのもひとつの方法かもしれませんが、アルコールの代わりにラジオ体操を一回やっていただくのはどうかと。

そういう状況でラジオ体操をすると、運動神経と自律神経のバランスがとれてきます。人間の身体というのは、片方の神経だけを使っていると、そのアンバランスが疲労の原因となってきます。運動をして自律神経が休まるわけではないのですが、両方が一緒に疲れてくるので、神経のバランスがとれて休めるようになると。ですから、神経のバランサーとしてラジオ体操を使う、というのも有効なんです。

他に、オフィスの中で気分転換として15時頃にやったりするところもあるようですね。仕事以外の刺激を身体に与えて、神経の疲労を置き換えて、バランスをとっていくわけです。

「力まない」「呼吸を止めない」「音楽を味わう」がコツ

――ラジオ体操をやるときの注意点があれば教えてください。

3つ申し上げると、まず「無理にがんばって力まない」こと。力が入ると筋肉は緊張し、硬くなりますよね。そうすると血行が良くならない。だから、なるべくのびのびと柔らかくやっていただきたい。

2番目は「呼吸を止めない方がいい」です。ゆっくりでいいですから、吸ったら吐いて、吸ったら吐いて……とやってください。ラジオ体操は有酸素運動ですから、100メートル走のように一気に駆け抜けるものではありません。

3番目は、なるべく「音楽を味わいながら」やっていただきたい。音楽を味わうと、精神的にリラックスできます。もう知っているから聴き流すではなくて、音楽を意識していただいて、楽しんでいただけるといいと思います。ラジオ体操の音楽はおだやかに流れているものですから、今申し上げた「力まない」「呼吸を止めない」を助けてくれます。

ラジオ体操は、はじめからフォームを気にして「こうやらなくてはいけない」と思わなくてけっこうです。今申し上げたことをうまく味わえるようになったら、徐々に覚えていただければいいと思います。

[プロフィール]
青山敏彦(あおやまとしひこ)
1936年三重県生まれ。日本体育大学体育学部を卒業後、同大学の助手に就任。1981年同大学教授に就任。1971年よりNHKテレビ・ラジオ体操指導者に就任し、以降28年間同職を務める。2015年よりNPO法人全国ラジオ体操連盟理事長。

<Text&Photo:大久保徹(H14)/Photo:Getty Images>

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