2022年3月1日

ランナー膝、足裏の痛み、捻挫…ランナーを悩ませる怪我とは (2/2)

捻挫(ねんざ)

捻挫は、関節にある靭帯や腱などの軟部組織、軟骨(骨の表面を覆う関節軟骨、間隙にはさまっているクッションである半月板や関節唇といわれる部分)のケガを指します。

捻挫の痛みの特徴は、急に痛みが出ること。受傷直後は動かさなくても痛みを感じる、患部が腫れるなどの症状が見られるでしょう。

おもな原因

走っていて段差につまずき、足首をひねってしまった。ランニング中に限らず、よく起こるケガのひとつでもあるのが捻挫です。

対策方法

捻挫を防ぐためには、サポーターなど関節を固定・保護する用具を着用する、テーピングで固定するようにします。とくに一度捻挫したことがある人は、再発する可能性があるので十分に注意が必要です。

捻挫は軽くみられがちなケガですが、しっかり治さないと関節が緩くなり再発しやすくなります。さらに痛みが慢性化する場合もありますので、甘く見ないようにしてください。

シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)

おもな症状

聞き慣れない方が多いかもしれませんが、シンスプリントはスネの内側に痛みが出る障害です。別名「脛骨過労性骨膜炎(けいこつかろうせいこつまくえん)」とも呼ばれます。

ふくらはぎについている筋肉の後脛骨筋(こうていこつきん)が収縮することで、付着部であるスネの骨(脛骨)に引っ張る力が常にかかり、炎症を起こしてしまいます。

最初に気がつくタイミングは、ランニング直後に感じるスネの痛みです。構わずランニングしていると、筋肉が温まることによって痛みを感じなくなることも少なくありません。そのため、気にせずランニングを続けてしまったという人も多いようです。

しかし、症状がひどくなると、ランニング中にも痛むようになり、運動していなくても常にスネが痛くなるなど悪化していきます。

じっとしていても痛みがある場合は要注意。疲労骨折に繋がる可能性もあるので、痛みがひどくなったらランニングは中止しましょう。

おもな原因

シンスプリントは、同じ動作の繰り返しによって起こる同部位の過使用が原因です。

予防対策

シンスプリントを予防するには、ランニングのプログラムを見直す、フォームや地面を蹴る動作にクセがないかどうかチェックする、日頃からストレッチやマッサージ、アイシングなどのケアを心がけることが重要です。

痛みが出た場合の自己判断は禁物。医師の診察を

ランニングで起きるケガの多くは、特定の部位の使い過ぎによって起こる障害です。マラソン大会に向けてハードな練習ばかりしている人ほど、痛みが出やすい傾向にあるでしょう。

また、初心者も注意が必要です。走り始めたばかりでそれほど多く走っていなくても、崩れたフォームや適切ではないシューズ、ランニングコースの路面などの条件で身体に大きな負荷がかかります。

痛みが出てしまった場合は自分で判断せず、医師の診察を受けて適切な治療・リハビリを行うようにしましょう。

[著者プロフィール]
和田拓巳(わだ・たくみ)
プロスポーツトレーナー歴16年。プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療院での治療サポートの経験もあり、ケガの知識も豊富でリハビリ指導も行っている。​医療系・スポーツ系専門学校での講師や、健康・スポーツ・トレーニングに関する講演会・講習会の講師を務めること多数。テレビや雑誌においても出演・トレーニング監修を行う。運営協力メディア「#トレラブ(https://tr-lv.com/)」などで多くの執筆・監修を行い、健康・フィットネスに関する情報を発信している。日本トレーニング指導者協会 JATI-ATI
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<Text:和田拓巳>

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