野菜中心の食事で体重と体脂肪は減るのか。ヴィ―ガン食のダイエット効果を調べた実験でわかったこと (2/2)
実験結果
12週間の実験終了後、ヴィ―ガン食を食べ続けたヒューゴ氏は体重が4パウンド(約1.8キロ)軽くなり、体脂肪率は1%落ちました(13%->12%)。ヒューゴ氏によれば、最初の4週間で体重は約4キロと急激に落ちましたが、その後の8週間でやや持ち直したそうです。
一方、バランス食を食べたロス氏は体重が10パウンド(約4.5キロ)増加し、体脂肪率は2%増えました(13%->15%)。つまり、同じ体質をもった2人が同じ運動を行いながら、ヴィ―ガン食は体重と体脂肪を減らし、肉を含む食事は体重と体脂肪を増やすという結果になったのです。
さらにヒューゴ氏は、数値では現れない効果がヴィ―ガン食にあったと述べています。体内のエネルギー・レベルが上がり、昼食時なども以前よりはるかに覚醒していると感じたそうです。
「ヴィ―ガン食によって、精神的な集中力がとても高くなりました。午後にだるくなるようなこともなく、体がエネルギーに満ちていることを感じました」(ヒューゴ氏)
今後の課題は詳細データと実験期間
ターナー兄弟は、12週間の実験では栄養学の研究として期間が短すぎるため、今後もっと長期に渡る実験(6か月から1年)を行ってみたいと述べました。また、体重や体脂肪率だけではなく、もっと詳細な血液データやテストステロン値なども測定基準に含めたいとしています。
ターナー兄弟自身は、これからも「Plant-based Diet(植物由来の食習慣)」をライフスタイルの中に取り入れたいとも言っています。彼らが行う冒険には心身ともに極限レベルの耐久力を要求されますが、ヴィ―ガン食はそれに大きな効果があると確信したからです。
参考文献:
*1.
Plant-Based Diets for Cardiovascular Safety and Performance in Endurance Sports.
Barnard, N. et al., 2019
*2.
Identical twins compared a vegan diet with meat-eating and found the vegan diet led to fat loss and more energy.
ターナー兄弟のウェブサイト
https://www.theturnertwins.co.uk/
[筆者プロフィール]
角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。IT関連の会社員生活を25年送った後、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー部監督を務める。また、カリフォルニア州コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得している。著書に『大人の部活―クロスフィットにはまる日々』(デザインエッグ社)がある。
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<Text:角谷剛/ Photo:Getty Images>