ヘルス&メンタル
2025年5月19日

「いびきは健康を害するレベルの騒音である」と医師も警鐘。いびきを改善するために今夜からできること

いびきは健康を害するレベルの「騒音」である。そう語るのは、日本睡眠学会総合専門医・指導医で日本循環器学会認定循環器専門医の後平泰信院長。

いびきは睡眠の質を大きく落とし、健康にも当然悪い。改善すべきであるにもかかわらず、いびきに悩む男女の割合は増加傾向にあるといいます。

睡眠を追求し、長年研究を続けているフランスベッド株式会社の調査によると(※1)、睡眠満足度は向上傾向にある一方、いびきの悩みを抱える人が増加中であるといいます。しかも、自身のいびきだけでなく、家族のいびきに悩む人も過去最多!

調査結果を交えつつ、いびきがどれほど健康に悪いのか、また他者に与える影響、そして改善策を探っていきます。

[プロフィール]
医療法人 徳洲会 札幌外科記念病院
後平泰院長
日本睡眠学会総合専門医・指導医 日本循環器学会認定循環器専門医
日本スポーツ協会公認スポーツドクター

いびきを自覚する男女の割合が増えてきた

後平医師:いびきは一般人口のうち、男性の57%、女性の40%に認められるといわれておりますが、今回の調査では過去3回の調査に比べ男性、女性ともに自身のいびきに悩まれている方の割合が徐々に増加しておりました。

いびきの原因は肥満や骨格、鼻炎などさまざまですが、日本人の肥満度は数年横ばいで経過しており、骨格の急な変化や鼻炎の方が増えたことも考えにくいため、おそらくは睡眠への注目や関心の高まりにより、今まで気に留めていなかった方の自覚が増えたのかもしれません。

いびきを自覚している方の平均睡眠時間が短い傾向にあることは注意すべき点です。いびき自体による中途覚醒などの増加や、後述します睡眠時無呼吸症候群などが関わっているのかもしれません。

いびきは離婚の原因にもなるレベルの「騒音」で、他者に深刻な健康被害を及ぼす可能性

後平医師:海外では、いびきは離婚の原因となっているとの報告も出されております。

いびきは「騒音」であり、平均すると約50dB(デシベル)といわれます。これはエアコンや風呂の給排水音に匹敵します。

環境省が示している騒音に係る環境基準では、住宅地における夜間の騒音は45dB以下が推奨されておりますので、健康を害するレベルの騒音と考えられます。

一定期間騒音に暴露されることで睡眠障害を引き起こすことやうつ病や高血圧、心筋梗塞や脳卒中を起こしやすくすることが報告されておりますが、いびきを習慣的にかくことは自分の問題のみではなく、相手を慢性的に騒音にさらすことでこれらのリスクを与えていると言い換えることができるでしょう。

いびきの自覚はあるが、どうしたらいいか分からない……

後平医師:いびきに悩む方が多い中、対策をとっていない、何をすれば良いかわからない方の割合が多い結果となりました。

いびきと関連した疾患で注意を要するものに「睡眠時無呼吸症候群」が挙げられます。

現在日本に2200万人いると言われている睡眠時無呼吸症候群ですが、特徴として“睡眠中の大きないびき”や“呼吸の停止”が挙げられ、一緒に寝ている方からいびきをかいている、呼吸が止まっていると言われて受診される方も多くいます。

もう一つ忘れてはならない症状が“日中の眠気”ですが、こちらは自覚に乏しい方もおり、眠気がないからと言って睡眠時無呼吸症候群を否定することができません。

肥満の方が多いですが、日本人は顎が小さい方が多く、やせていてもなることが知られています。高血圧、心疾患、脳卒中や糖尿病になられた方の中でも睡眠時無呼吸症候群の患者は多く、これらの病気を悪化させることも知られております。

さらに運転中の事故も約5倍程度増えることが報告されています。

いびき対策をしないことで、自身や周囲の方の健康に影響を及ぼすなど、睡眠時無呼吸症候群が隠れている場合もあるため、いびきは危険という意識をしっかり持って対策をしていただきたいです。

専門家に相談し、アドバイスを受けられることをおすすめいたします。

今夜からできるいびき対策ってある?

いびきは本人だけでなく周囲の人にも大きな害を及ぼす。こうなると医療機関への相談も必要になりますが、それまでにできるいびき対策はあるのでしょうか?

フランスベッド株式会社の担当者に聞いてみたところ、すぐに実践できる改善法としては以下などが挙げられました。

・寝る前の飲酒を控える
・体重を減らす(とくに肥満傾向のある方)
・横向きで寝る(横向き寝用のサポート枕や抱き枕を使うと効果的)

いびきをかいているのか手軽にチェックする方法としては、やはり一緒に寝ている人に確認してもらうか、いびき録音アプリなどを使い、寝ている間の音を録音して後で聞くのがよいそう。

「ただし、いびきが慢性的な場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性もありますので、簡易検査(SASスクリーニング)を活用して状態を確認するのもよいと思います」とのことです。

【調査概要】
・調査時期:2025年2月7日(金)~14日(金)
・調査対象:全国20~60代の男女1,000人
・調査方法:インターネット(株式会社Insight Techが行ったアンケート調査より集計)

(※1)調査詳細 https://interior.francebed.co.jp/news/detail.php?id=776

<Edit:編集部>