
納豆の栄養を損ねてしまう「もったいない食べ方」とは
健康食品として人気の納豆。発酵パワーと豊富な栄養素で、毎日の食事に取り入れている方も多いはずです。
しかし、実は何気なくやっている食べ方の中に、納豆の栄養を落としてしまう“もったいない食べ方”もあります。たいや内科クリニック管理栄養士・林安津美(はやし あつみ)さんが回答してくれました。
納豆の栄養を損なう食べ方とは
納豆の栄養素を損なわない・より高めるために、注意したい2つのポイントを解説します。
1.加熱してしまう
納豆はその栄養価の高さから「日本のスーパーフード」とも呼ばれます。もっとも大切なのは、納豆に含まれるナットウキナーゼという酵素を活かすこと。
この酵素は血液をサラサラにする効果がありますが、高温で失活してしまうため、納豆は加熱せず生で食べるのがベストです。
Q.ほかほかご飯の上に乗せても大丈夫?
納豆の酵素活性を最大限に保つためには、可能な限り低温で摂取するのが理想的です。しかし、ご飯の上に納豆を乗せる程度の熱であれば、大きな影響はないと考えられます。
ナットウキナーゼは、50℃前後で徐々に活性を失い始め、70℃以上で不活性化するとされています。ほかほかのご飯の温度は60℃~70℃程度です。
そのため、長時間乗せると不活性化する恐れがありますが、短時間であれば問題ないでしょう。
2.かき混ぜる前にタレやからしを入れてしまう
タレやからしを加える前に混ぜると、より粘り気が出やすくなります。粘りを強くさせると、ナットウキナーゼの活動が促されると言われています。
粘りの強さとナットウキナーゼの活性に直接的な関係は薄いですが、粘り気が増すことで吸収されやすくなると考えられます。
具体的な回数に関して科学的な根拠はあまり示されていませんが、経験則としては50回以上納豆を混ぜると粘りが増すでしょう。
卵黄やアボカドと食べるのもおすすめ!
納豆には、ビタミンK2という脂溶性ビタミンが多く含まれています。脂溶性ビタミンは、卵黄やアボカドと一緒に摂ると吸収が促進されるので組み合わせて食べると良いでしょう。
「納豆に卵をあわせるのはダメ」という噂がありますが、間違いだと言えるでしょう。栄養学的な観点から見ても問題ないとされています。
なぜこのような噂が流れたのか
納豆と卵を組み合わせることで、生の卵白に含まれる「アビジン」というタンパク質が「ビオチン(ビタミンB7)」の吸収を阻害する可能性があるためです。
しかし、実際には、大量の卵白を定期的に摂取しなければさほど影響しないと考えられます。そのため、「納豆に卵を合わせるのはダメ」という噂は栄養学的根拠に基づかないものと言えるでしょう。
監修者プロフィール
たいや内科クリニック
管理栄養士 林 安津美(はやし あつみ)さん
大学卒業後、JAあいち厚生連で37年にわたり病院の管理栄養士として勤務。その間、豊田厚生病院・安城更生病院の技師長として17年間在籍。2022年5月よりたいや内科クリニックへ入職。病態栄養専門管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・腎臓病療養指導士・がん病態栄養専門管理栄養士・和漢薬膳師等の資格を活かし、患者さんの思いを聴き・応え、患者目線でテーラーメイドの医療を届けるよう心掛けている。
<Edit:編集部>