
自律神経のバランスと「水分不足」の関係性とは?“正しい飲み方”を医師に聞いた (1/2)
最近、だるさや頭痛、立ちくらみが増えていませんか。その不調には、水分不足が関係している可能性があります。
体内の水分量が変化すると、自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスに影響を及ぼすことがあるのです。
この記事では、HRV(心拍変動)や“オスモプレッサー反応”といった体の仕組みをもとに、水分不足が不調につながり得るプロセスをやさしく解説。暑さ・運動・日常の3場面で、今日からできる水分補給の考え方を具体的に示します。
監修は、用賀きくち内科 肝臓・内視鏡クリニック院長の菊池真大先生です。
なぜ「水分不足」が自律神経のバランスに影響するの?
「水分不足は体に良くない」と知っていても、自律神経とどう関係するのか、イメージしにくいかもしれません。ここでは、体の中で起こり得る変化の仕組みを見ていきましょう。
循環器系への負担が、交感神経を優位にさせることがある
私たちの体の約60%は水分でできており、その多くは血液の成分としても循環しています。
体内の水分が不足すると、血液の液体成分である「血漿(けっしょう)」の量が減少します。その結果、血液の粘度が高まり、心臓をはじめとする循環器系への負担が増すことがあります。
心臓は、粘度が高まった血液を全身に巡らせるため、より力強く拍動する必要が出てきます。このような体の「頑張る」モードのとき、自律神経のアクセル役である「交感神経」が優位になりやすいのです。
この自律神経のバランス状態を知るための一つの指標に「HRV(心拍変動)」があります。
HRV(心拍変動)とは?
心臓の拍動間隔は常に一定ではなく、呼吸などに合わせて微妙にゆらいでいます。この「ゆらぎ」が大きい状態(HRVが高い)は、心身がリラックスし、環境変化に適応しやすいサインとされます。
逆に、ストレスや疲労、睡眠不足、そして水分不足といった要因によって交感神経が優位になると、このゆらぎが小さくなる傾向(HRVが低い)があります。
HRVで水分状態は判断できる?
HRVは自律神経のバランスを総合的に反映する指標であり、水分不足以外にも、精神的ストレス、睡眠の質、運動、食事など、非常に多くの要因で変動します。 そのため、「HRVが低いから水分不足だ」と断定することはできません。
あくまで体全体のコンディションを知るための一つの参考情報と捉えましょう。
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