白湯のデメリットは?飲む量や温度次第ではリスクも。正しい飲み方を管理栄養士がお伝えします
健康や美容のための飲み物として広く親しまれている「白湯(さゆ)」は、基本的には安全で正しく取り入れればメリットの多い飲み物です。
しかし、飲む量や温度などの“取り入れ方”を誤ると、体調を崩したり、日常生活での健康やトレーニングにマイナスな影響を及ぼすことに繋がります。
ここでは、意外と知られていない白湯のデメリットと、白湯の正しい作り方と飲み方を管理栄養士が紹介します。
「白湯」とは
冬になると、自然と白湯を手に取る回数が増える方も多いのではないでしょうか? でも、意外と「結局ただのお湯でしょ?」と思っている人も少なくありません。
白湯は「さゆ」と読み、何も混ざっていないお湯を指す言葉です。飲み物として語られる場合、明確な定義があるわけではありませんが、一般的にはいったん水を沸騰させ、飲みやすい温度まで冷ましたものを白湯と呼ぶことが多いです。
ここで気になるのが「じゃあ、ぬるま湯とは何が違うの?」という点ですよね。
ぬるま湯との違い
白湯とよく混同されるのが「ぬるま湯」です。
ぬるま湯は、単に温度が低い「お湯」を指します。これに対して白湯は、いったん水を100℃までしっかり沸騰させてから、50〜60℃ほどの飲みやすい温度に冷ましたものを指すのが一般的です。
沸騰させることで、水道水に含まれる塩素由来のにおい(カルキ臭)を感じにくくなり、口当たりがまろやかで飲みやすくなることがあります。

また白湯は、一般家庭の健康習慣としてだけでなく、医療の現場でも、栄養補給や治療の過程で「温かい水分」として用いられることがあります。
では、こうした白湯の飲み方が、どのように広まってきたのでしょうか。
なぜ白湯が選ばれてきた? 伝統医学にも登場
温かい飲み物を体調管理に活かす考え方は世界各地に共通して見られ、白湯もその流れの中で語られてきました。
インドの伝統医学アーユルヴェーダでは、温かい水分が体を整えるものとして捉える考え方があります。また、中国では古くから温かい飲み物が体調不良時の選択肢として位置づけられてきたとされます。

日本でも江戸時代以降の文献で白湯の飲用が確認され、日常の飲み物や来客時のおもてなしとして取り入れられていました。
近年は健康習慣としての再評価が進み、「朝白湯」などの形で生活に取り入れる人が増えています。
白湯のデメリットと注意点
このように健康習慣として信頼度の高い「白湯」ですが、取り入れ方によっては、健康に良くない影響を及ぼすことがあります。
ここでは、そんなデメリットや注意点を具体的に解説します。
起こりやすい不調
・消化不良につながることがある
健康のために白湯を飲み始めたところ、胸焼けや不快感が出ることがあります。
これは、大量の水分が胃の中に入ることで胃酸の濃度が下がり、食べ物を分解する消化酵素の働きが弱くなることや、食べ物が胃の中に留まりやすくなることが原因として考えられます。
こうした不快感は、日常生活の質を下げる要因になり得ます。さらに消化不良が起こると、栄養素がうまく吸収されず、結果としてトレーニングの成果が十分に出ないといった事態にも繋がりかねません。
体が不快に感じる飲み方になっていないかを見直すことが大切です。
・下痢を引き起こす可能性がある
便通改善を期待して白湯を取り入れる方は少なくありません。適度な水分摂取は排便をスムーズにすることが期待できますが、量が多すぎると腸の動きが必要以上に活発になり、下痢に繋がることがあります。
お腹がゆるくなる、便が水っぽくなるといった変化が続く場合は、飲む頻度や量を控えめにして調整しましょう。
・頻尿の原因になる
人の体は一度に吸収できる水分量が限られています。吸収しきれなかった水分は尿として排泄されるため、白湯を一度にたくさん飲むと、頻尿に繋がることがあります。
日中の活動に支障が出たり、夜間の睡眠を妨げたりする場合は、飲む量やタイミングを見直すサインです。
まれに起こるリスク
・「水中毒(低ナトリウム血症)」のリスクになることがある
健常者では稀ですが、短時間に何リットルもの水分を摂取することで、低ナトリウム血症(水中毒)を起こすことがあります。
これは血液中のミネラルが薄まることにより起こるもので、頭痛や吐き気から始まり、強いだるさ、意識障害といった重篤な症状に繋がることがあります。
体のために取り入れる習慣ほど、適量の範囲で続けることが大前提です。
・温度が高すぎると、食道がんリスクと関連が指摘されている
白湯で特に注意したいのは温度です。65℃以上の熱い飲み物を習慣的に飲むことは、食道の粘膜が熱刺激で傷つきやすくなり、長期的にがんのリスクを高める可能性があるとして、国内だけでなく海外でも注目されています。
IARC(国際がん研究機関)は、65℃以上の「非常に熱い飲み物」を「おそらく発がん性がある(グループ2A)」に分類しています。
また、イランで行われた約5万人規模のコホート研究では、70℃超の非常に熱いお茶を飲む人で、食道がんリスクが約8倍と関連づけられた結果が示されています。
白湯は通常50〜60℃に冷まして飲むものですが、沸かした直後に口をつける習慣がある場合は、温度を下げる工夫が必要です。
持病がある人の注意点
持病やむくみがある人は、悪化する原因になる白湯は一般的に身体への負担が少ないと捉えられがちですが、心疾患や腎疾患などによるむくみがみられる方は、疾患の悪化や治療の妨げになることがあります。
取り入れる前に必ず相談をしましょう。白湯に切り替えるかどうか、どれくらい飲んでよいかは、主治医の指示を優先しましょう。
正しい白湯の作り方・飲み方
白湯は「熱すぎない」「一気に飲まない」「量を増やしすぎない」を意識すると、デメリットを避けやすくなります。
作り方
①水を一度沸騰させる
やかんや鍋で水を沸かし、しっかり沸騰した状態にします。
②50〜60℃程度まで冷ます
沸かしたお湯をカップに移し、飲みやすい温度まで待ちます。

50〜60℃は、舌や唇に触れたときに「熱い」と感じることはなく、むしろ「少し温かい」と感じます。口に含んだ瞬間に熱さを強く感じる場合は高温(70℃以上)の可能性があるため、しっかりと冷ましてから飲みましょう。
飲み方
1回に飲む目安はコップ1杯(150〜200ml程度)です。ゆっくり飲むほうが胃腸への負担が少なくなります。
その後も、喉の渇きを感じる前に、水分を取り入れることができたら理想です。白湯に限らず、水分は「少量をこまめに」飲むことで、きちんと体に吸収されやすくなります。
やり方次第で白湯はメリットも多い
健康習慣として一定の信頼と地位を得ている「白湯」ですが、この記事では、あえてそのデメリットに着目しました。
しかし、飲み方・温度・自分の体の状態に気を配っていれば、健康面へのメリットが多くあります。これから白湯を取り入れる方、白湯をすでに習慣として続けている方の、参考になれば嬉しいです。
※本記事は、管理栄養士が生活習慣の改善をサポートするオンラインサービス「CHONPS」の企画によるものです。
サービス詳細:【公式】オンライン食事指導サービスCHONPS
監修者プロフィール
中村瑞樹(管理栄養士)
大日本印刷グループにて社員食堂運営や従業員の健康管理事業、特定保健指導に従事。その後、クックパッドグループにて栄養食事指導および健康記事の企画に従事したのち、管理栄養士として独立。現在は「科学的知見と日々の暮らしをつなぎ、食と健康に関する迷いや不安を減らす情報発信を行う」をテーマに執筆・メディア出演・琉球料理の伝承活動を行う。
https://note.com/nuchigusui365
参考資料
・宮部浩道ほか,水中毒に伴う重症低Na血症の治療経験:酢酸デスモプレシンと3%高張食塩水の有用性.日本集中治療医学会雑誌,2015,22巻6号,p.523-526
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsicm/22/6/22_523/_pdf
・蓮村誠『病気にならない「白湯」健康法:1日3杯飲むだけで、免疫力が一気に高まる!』PHP研究所(PHP文庫).
・食品安全委員会「国際がん研究機関(IARC)、コーヒー、マテ茶、及び非常に熱い飲料(very hot beverages)の評価を公表」
https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu04500920298
・農林水産省「国際がん研究機関(IARC)によるコーヒー、マテ茶及び非常に熱い飲料の発がん性分類評価について」https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/coffee.html
<Edit:編集部>









