2020年9月8日

コロナ禍の“自宅筋トレ”、思うように進んでいない人が増加中。その理由とは? (1/2)

 新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、最近は自宅で筋トレする人が増えているようです。けれど「思ったより筋肉がつかない」「むしろ筋肉量が低下した」と感じている人も多いんだとか。なぜでしょう?

 これについて、森永製菓が興味深い研究結果を公表しています。オンラインで9月7日に開催した「筋力トレーニングと栄養成分」に関するメディア向けセミナーでは、立命館大学の後藤一成教授が『コロナ禍における深刻な“筋肉ダウン”問題』『トレーニングしても筋肉がつかない“筋トレロス”問題』のメカニズムと対策方法を提唱しました。本稿で紹介していきましょう。

約6割が筋力低下を実感

 立命館大の後藤氏が最初に提示したのは、森永製菓が週3回以上トレーニングを行っている600人を対象に行ったインターネット調査「現在の筋トレにおける実態と課題」(2020年7月)の結果でした。それによれば、いまコロナ禍により約6割の人が筋力低下を実感しているようです。

▲立命館大学スポーツ健康科学部 教授の後藤一成氏

 詳しく紹介すると、「コロナ禍で筋力が低下したと思いますか」という問いかけに対して、全体の56.6%が筋力の低下を感じる結果に。年代別では、男性は40代(56.8%)、女性は50代(72.7%)が「筋力低下」を実感。特に女性では50代、60代の7割以上が筋肉ダウンを実感していました。

▲「コロナ禍で筋力が低下したと思いますか?」

 コロナ禍を機に8割以上の人が”おうち筋トレ”の頻度を増加。年代別では、男性は40代(93.8%)、女性は20代(94.5%)が最も多い結果になっています。

▲「コロナ禍で、自宅での筋トレ頻度が増えましたか?」

 しかし「自宅で行う自己流のトレーニングには、いくつかのリスクが潜んでいます」と後藤氏。気持ちが焦り、筋肉疲労の回復が不十分な状態で次のトレーニングを行うことで慢性的に疲労が蓄積された「オーバーリーチング」の状態に陥り、トレーニングの効果を大きく低下させることが広く証明されている、と警鐘を鳴らします。

▲自己流トレーニングに潜むオーバーリーチングの問題

 例えば、2000年にスペインのグループが行った研究。自転車を全力でペダリングして足の筋力をつけるという内容でしたが、14日連続で合計14回トレーニングしたグループと、2日おきで合計14回トレーニングしたグループでは、前者は効果が上がらず、後者は大きな筋力アップの効果が見られたと紹介します。つまり身体が疲労した状態のままトレーニングを続けても、得られるべき筋力アップには結びつかない、と後藤氏。

▲オーバーリーチングの状態ではトレーニング効果が得られない

“筋トレロス”とは?

 そもそもトレーニングを行うと筋線維(結合組織)には微細な損傷が起こり、筋肉では炎症反応が起こり、筋肉痛が発生します。通常なら2~3日で元通りに回復することは、みなさんも体験からご存知の通りです。しかし外出自粛や在宅勤務が増えている昨今。身体活動量が低下しています。また抗酸化機能が低下し、免疫機能も低下中。こうした現状では、身体の機能の回復も遅延する、と後藤氏は分析しています。「これまで効果が得られてきたトレーニングをしているのに、なぜか筋力がアップできない状態に陥ります。これを”筋トレロス”と呼んでいます」と後藤氏。

▲筋トレロスが起きるしくみ

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