豆乳を飲むメリットとは。栄養面から見た6つのポイント
牛乳とともに、健康飲料として根強い人気を誇る「豆乳」。健康や美容のために飲む人も多く、イソフラボンが豊富ということから、なんとなく女性向けの飲み物というイメージがありますが、もちろん男性が飲んでも問題ありません。
ところで豆乳にはどんな栄養があり、飲むことでどんなメリットが考えられるのでしょうか。料理家でスポーツ栄養士でもある玉利紗綾香先生の回答とともに見ていきます。
豆乳にはどんな栄養素が含まれている?
豆乳は植物性脂肪のためカロリーが低く、高たんぱく質です。大豆サポニンやイソフラボンなどの成分のほか、腸内環境を整えるオリゴ糖、ビタミンB群やEも含まれています。
「無調整豆乳」がもっとも大豆の栄養が詰まっている
豆乳は、「無調整豆乳」「調整豆乳」「豆乳飲料」の3種類に分けられています。「無調整豆乳」は大豆固形分8%以上、「調整豆乳」は大豆固形分6%以上、「豆乳飲料」は大豆固形分2%以上と定められています。
大豆固形分が多ければ多いほど、大豆の持つ栄養素も多く含まれ、豆乳本来の味を強く感じられます。
市販でよく見る「キッコーマン おいしい無調整豆乳」と「ふくれん 九州産ふくゆたか大豆 成分無調整豆乳 200ml」の栄養素は以下の通り。
キッコーマン おいしい無調整豆乳
[大豆固形分]8%以上
[原材料]大豆(カナダ)(遺伝子組換えでない)
[栄養成分]
熱量113kcal、たんぱく質8.3g、脂質7.3g、飽和脂肪酸0.95g、コレステロール0mg、炭水化物3.7g、糖質3.3g、食物繊維0.4g、食塩相当量0g、カリウム425mg、カルシウム34mg、マグネシウム56mg、鉄1.1mg、亜鉛0.9mg、レシチン421mg、大豆サポニン92mg、イソフラボン56mg
ふくれん 九州産ふくゆたか大豆 成分無調整豆乳 200ml
[大豆固形分]9%
[原材料]大豆 (遺伝子組換えでない)
[栄養成分]
エネルギー99kcal、たんぱく質10.0g、脂質5.1g、コレステロール0mg、炭水化物3.3g、食塩相当量0.04g、カルシウム22mg、鉄 1.4mg、カリウム388mg、マグネシウム45mg、大豆イソフラボン(アグリコンとして)45mg
(一番左)キッコーマン おいしい無調整豆乳
(右から二番目)ふくれん 九州産ふくゆたか大豆 成分無調整豆乳 200ml
豆乳の栄養素が体にもたらす働き
植物性たんぱく質が筋肉を作る材料になる
豆乳からは植物性たんぱく質が摂取できます。1パック(200ml)で約10g前後のたんぱく質が含まれていることが多いです。
大豆たんぱく質は体内での消化・吸収に時間がかかるため満腹感を得やすく、食欲を抑えることに繋がります。ダイエット目的の場合は食事の前に飲むと良いでしょう。
筋肥大目的なら牛乳のほうが向いているそう。
大豆ペプチドによる脂質代謝向上
豆乳に含まれる「ペプチド」が脂質代謝を向上させ、脂質から変換されたエネルギーが筋肉の疲労回復を早くするという効果があります。
また、運動直後に大豆ペプチドを摂取することで、血液中の成長ホルモン濃度が上昇し、筋肉を作る効果がより高まります。
レシチンによる体脂肪燃焼のサポート
豆乳に含まれるレシチンは、体脂肪燃焼を高めてくれる成分が含まれています。
ビタミンB群でたんぱく質の代謝をサポート
たんぱく質、糖質や脂質のエネルギー代謝などを助けます。特にビタミンB6はたんぱく質の合成を促します。
オリゴ糖で腸内環境を整える
オリゴ糖も含まれているため、腸内環境がよくなり、便秘解消や肌の調子に役立ちます。
低カロリー、低糖質、コレステロールゼロのためダイエット向きではありますが、飲みすぎには注意が必要です。
「1日の摂取目安は、200mlパックを1〜2本です。別途、サプリメント(プロテイン)を飲んでいる場合は、過剰にたんぱく質を摂取してしまう可能性があるので、サプリメントまたは豆乳の量を調整しましょう。たんぱく質の過剰摂取で病気になるという研究はありませんが、内臓疲労、体重増加などは考えられます。摂取量には気をつけましょう」(玉利さん)
骨や筋肉、血液を作るカルシウムの量は牛乳にかないません。牛乳も飲みながら、適度に豆乳を飲むとよいでしょう。
なお、イソフラボン摂取によるバストアップなどの効果は議論が続けられています。イソフラボンは女性ホルモンであるエストロゲンと似た働きをすると言われていますが、摂りすぎると太るほか、逆にホルモンバランスを崩してしまう恐れがあるので注意しましょう。
[監修者プロフィール]
玉利紗綾香(たまり・さやか)
大妻女子短期大学部 家政学科食物栄養卒業。食品会社に5年半勤務し、プライベートブランド商品の開発過程に携わる。料理研究家のもとで修行後、栄養士、料理家として独立。現在は、自身のスポーツ経験、栄養士の知識を活かし、 スポーツ専門学校でスポーツ栄養学の講師や、CM、書籍、雑誌、料理教室等を開き、多方面で活動中。
<Edit:編集部/Photo:Getty Images>