2017年12月29日

横浜DeNAベイスターズのVRシステムと連動するレーダーシステム「トラックマン」から見える戦略の全貌│デジタルでスポーツの勝利をつかむ #3〈野球×デジタル 後編〉 (1/2)

 3位から下剋上で日本シリーズ進出を果たした横浜DeNAベイスターズ。惜しくも福岡ソフトバンクホークスに敗れるが、2018年の活躍を確信したファンも多いことだろう。この躍進を後押しした最新のトレーニングシステム「iCube」。チーム統括本部 チーム戦略部 部長の壁谷周介氏にその秘密を尋ねた。

前編:横浜DeNAベイスターズが導入したベースボールトレーニングVRシステムの実力

VRシステムを支える膨大なデータベース

「『トラックマン』というシステムをご存知でしょうか。メジャーでも日本でも、半数以上の球団に導入されている機器です。横浜スタジアムにも導入していますが、軍事レーダー技術を使った、ボールの軌道がすべてデータで取れるシステムで、回転数・回転軸、どこで球が離されたのかなどの、データを取ることができます。また私たちが撮影している映像があるんですけど、「iCube」はそれらのデータと映像を組み合わせて作っています」

 近年、弾道測定器「トラックマン」は、選手の投球・打球データを採取する上で欠かせないものとなっている。このデータだけでもかなり有益だと壁谷氏は話すが、ベイスターズはさらにVR(バーチャルリアリティー)システムへとテクノロジーを昇華させている。現在、登録されている投手の数は200人以上。大谷翔平選手の豪速球も、「iCube」であれば体感可能ということだ。

▲登録された投手データを呼び出せば、すぐに球種を体感できる。「トラックマン」でデータと映像があれば誰でも「iCube」に反映可能

 そこで、さらに「トラックマン」やITデータの運用法について聞いてみた。

「データ活用の仕方は、戦術面と戦略面で変わってきますね。“戦術”で言いますと、選手が試合で使う全試合の1球ずつのデータを入力し、分析する独自のシステム『キャンバス』。それによって相手の配球パターンを分析したり、作戦を分析したり、打者の強いコースや弱いコースを分析したりということもやっています」

「一方、“戦略”では『ミナトシステム』という中長期的なシステムがあります。それは選手のありとあらゆる情報を全部集約して、いろいろと分析できるような仕組みです。アマチュアのスカウティング情報や外国人のスカウティング情報、他球団の選手のスカウティング情報、メディカル情報(健康状態、怪我の状態)、あとは成績など諸々の情報が入ったシステムで、2012年から使っていて毎年進化させています」

動きの映像化だけでなく数値として検証が可能に

 ベイスターズでは想像以上にテクノロジーが活用されている。こういった意識は選手自体にも波及しているのだろうか?

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