インタビュー
2025年1月27日

「(当時の自分とは)一緒に働きたくない」。全社員から一斉に辞表を出された話|連載:VALX 只⽯昌幸社長に聞く“ピンチの切り抜け方”#6 (3/3)

編集部:とはいえ管理職の中には、部下に任せて『やっぱり成果が上がらなかった、全然ダメだった』という事態になる恐怖もあるかもしれません。それを防ぐためには?

只石社長:僕は怖がりなので、リスクヘッジしました。たとえばセミナーの場合、前半は僕の講演、後半は社員とか。そうすれば集客において僕の名前を使えるわけじゃないですか。

実際アンケートを取ってみたり、社員が講師の勉強会と、僕が講師の勉強会で値段を変えてみたり。どっちのほうが売上がいいか試してみたら、圧倒的に社員たちのほうが売れていたんですよ。別に自分じゃなくて良かったんだって気付けた。

編集部:ほかに、社員たちへの信頼を回復していった方法はありますか?

只石社長:当時はとにかく“任せる”が一番でした。

編集部:もし今の只石社長が、当時の自分の下についたとしたら、どう切り抜けますか?

只石社長:多分、一緒に働かないと思います。ダメですよ。そんな社長の下で働いちゃ(笑)さっさと逃げたほうがいい。素直さがない人には、何を言っても聞き入れてくれないですよ。

でも、当時の僕は幸いにも気付けた。気付けた後は、人間って早いと思うんですよ。でも気付けない状態だと、いかに優秀な部下が入社してきても、多分その言葉は届かないと思います。

編集部:当時の只石社長は、なぜ気付けたのでしょうか。部下から何を言われても気付けない人たちも沢山いるかと思いますが、何が違うのでしょうか。

只石社長:やっぱりあの1本の電話があったからです。僕と目を合わせられないような、コミュニケーションが本当に苦手だというエンジニアの子。その子が僕に電話をしてくること自体、よほどのことなんです。しかも『今の社長、カッコ悪いと思います』って。そこまで勇気を振り絞らせてしまったって。

編集部:もし、いつも社長に意見を言ってくる社員から苦言を呈されていたら?

只石社長:それはわからないです。ただ、少なからず退職届を全員から出されたときは、僕は『はいはい、すぐ辞めてもらっていいです』という感じで受け止めていました。実際、次の日は全員出社してましたし、やっぱりね、って。

次回へ続く

プロフィール

只石昌幸(ただいし・まさゆき)

群馬県出身。群馬県立高崎高校より、法政大学経営学部へ。株式会社キーエンスを経て、起業。2006年、株式会社レバレッジを創業。WEBサイトの受託からスタートさせるも、Blogブームに乗って、こだわり社長のニックネームで独自のグルメブログを展開し、自身のアメブロがアクセス数において、アメブロ日本一に。2016年より自社メディア『ダイエットコンシェルジュ』を開始、パーソナルジムのマッチングメディアとして日本最大規模に成長。2019年よりフィットネスブランド『VALX』を山本義徳先生とともに開始。ブランド開始から約5年で、ブランド累計販売数550万個突破、プロテインの累計販売食数は1億3千万食を突破する。35歳の時、趣味で始めた極真空手も優勝8回、世界シニア大会8位を受賞。X(旧Twitter)フォロワー数5.2万人。
・X公式アカウント  https://x.com/kodawari_ceo

<Text & Photo:編集部>

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