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運動中の怒りは“見える化”でコントロールできる。スポーツと怒りの関係(後編)

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 怒りは身体のパフォーマンスを向上させる一方で、冷静な判断を下すうえではマイナスになることは否めません。前編ではそんな怒りとスポーツの関係を、脳科学の見地から見てきました。

 後編ではアンガーマネジメントの第一人者として知られる日本アンガーマネジメント協会の安藤俊介代表理事の話をもとに、スポーツ中に怒りを上手にコントローする手法について紹介していきたいと思います。

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個人競技でも団体競技でも、アンガーマネジメントは有効

「アンガーマネジメントは1970年代にアメリカで開発された心理トレーニングで、“怒らないこと”ではなく、“怒りと上手に付き合うこと”を目的にしています。大事なのは怒ってもいいけど人を傷つけず、モノにも当たらないこと。それは技術と理論を学び反復練習を続けることで、誰でも上達できます」

 安藤さんの説明にあるように、アンガーマネジメントは確立された技術と理論を学び、怒りという目に見えない感情をコントロールすることを目的にしています。

 これは怒りのコントロールが必要となるスポーツにおいても有効です。テニスやボクシングなどの個人競技から、サッカーや野球などの団体競技まで、どんな競技でも構いません。ルールやプレイ時間などに違いがあっても、アンガーマネジメントの原則は同じであると安藤さんは話しています。

「怒りの感情で闘志を燃やすことはエネルギーになりますが、頭に血が上るとまわりが見えなくなり、戦術を落としてしまいます。そこで怒りと上手に付き合うアンガーマネジメントが役に立つわけです。ゴルフやテニスなどの個人競技では、自分自身のメンタルと向き合うことになるでしょう。一方、サッカーなどの団体競技では、メンバーのメンタルや関係性も考慮する必要がありますが、違いはその点だけです」

 では、どのようにして怒りという制御不能とも思える感情をコントロールするのでしょうか? そこでキーワードとなるのが“言語化”と“数値化”です。

言葉遊びで、怒りの感情を“言語化”する

 怒りをコントロールするのが難しいのは、それが目に見えないからです。なので、コントロールしやすくするために必要なのが、怒りの状態を言語や数値で“見える化”すること。そこで、アンガーマネジメントが実践しているのが、言葉遊びの反復練習です。これにより、今自分がなにを感じているかを、徹底して言語化するクセを身につけていきます。

 さっそく、言葉遊びを試してみましょう。ここでは、iPhoneを例に挙げて、より抽象的な存在である“上位概念”、同じレベルの存在である“同位概念”、より具体的な存在である“下位概念”を連想していきます。

 では、iPhoneよりも一段上の抽象的な上位概念とはなんでしょう? iPhoneとはアップルが開発したスマートフォンのことですね。つまり、iPhoneの上位概念は「スマホ」です。そして、同位概念の例としては、ライバル視されることの多いグーグルの「アンドロイド」などが挙げられるでしょう。より具体的となる下位概念は、iPhone 7やiPhone SEといった個別のモデルとなります。

 このように言葉遊びを反復して練習しているうちに、漠然としていた感情が言葉にできるようになっていくようです。

「大切なのは自分の感情を言葉に表すことで、自分自身を知ることです。怒ったときの自分を客観視することは、冷静さを取り戻すきっかけになります。アンガーマネジメントは技術として身に着けられれば、いつでも再現可能です。アスリートが最高のパフォーマンスを発揮できる状態を“ゾーン”といいますが、いつやってくるかは誰にも分からないので、それがアンガーマネジメントとの違いではないでしょうか」

怒りに点数を付けて、自分を客観視する

 怒りの感情を見える化するうえで、もう一つ有効となるのが“数値化”です。日常生活で怒りを感じたら、それに点数を付けてみてください。

「さっきの怒りが6点だとしたら、今の怒りは3点くらいかなという具合に、相対的に点数をつけてみてください。そうすることで自分の怒りを客観視できます」

 日頃から怒りに点数を付けていくことで、やはり自分がどのくらい怒っているのか客観的に見られるようになるといいます。安藤さんによると、このとき一瞬冷静になれることが重要だそうです。たいていの怒りのピークは6秒程度といわれており、その時間を過ぎれば抑えることができるようになります。

 さらに、自分を客観視する方法として、安藤さんがもう一つ教えてくれたのが、三重丸による怒りのコントロールでした。

「人が怒る理由は自分が信じている“~するべき”、“~であるべき”ということが裏切られたときです。この許容度を三重丸で表します。一番中心は“許せるゾーン”、つまり自分の考える“べき”とまったく同じ状態です。そのまわりが“まあ許せるゾーン”で、中心の“べき”とは異なりますが、許容できる状態。そして一番外側が“許せないゾーン”となります」

 この三重丸をハッキリ意識できるようになると、0か100だけではない、怒りの状態をより具体的に把握できるようになるといいます。“まあ許せるゾーン”を広げられれば、ちょっとしたことでイライラすることは少なくなるでしょう。この線引きが明確になると、怒る必要のあるときとそうでないときを明確に切り分けられます。つまり、上手に怒りと付き合うことができるようになるわけです。

3週間でアンガーマネジメントのベースを作り上げる

 これまで紹介したアンガーマネジメントの基礎は、3週間あれば習慣化できるようシステマチックに組み立てられています。この期間に渡って練習を続けられれば、アンガーマネジメントの基礎が習慣となり、当たり前にできるようになるといいます。

「アンガーマネジメントは多くの人にとって即効性が期待できます。初めての知識や技術を習うことで、初日で大きく変わる人もいるでしょう。以後はダイエットと同じで、継続することが大切です」

 曖昧模糊としていた怒りの感情を“言語化”と“数値化”で見える化して、上手に付き合っていくアンガーマネジメント。いずれも手軽な手法ですぐに実践可能です。メンタルトレーニングの一環として、導入するアスリートは今後ますます増えていくでしょう。

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[監修者プロフィール]
安藤俊介(あんどう・しゅんすけ)
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会 代表理事。アンガーマネジメントコンサルタント。企業、教育現場にある怒りの問題を解決する専門家。怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニング「アンガーマネジメント」の日本の第一人者。文部科学省も注目している感情理解教育「アンガーマネジメント」の理論、技術をアメリカから導入する。教育現場から企業まで幅広く講演、企業研修、セミナー、コーチングなどに日々奮闘している。また、アンガーマネジメントのトレーナーの育成にも力をいれている

<Text:舩山貴之(H14)/Photo:舩山貴之、Getty Images>

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