2020年9月18日

イライラは“見える化”でコントロールできる。スポーツと怒りの関係(後編) (2/2)

◆人が怒るのはどんなとき?

「人が怒る理由は自分が信じている“~するべき”、“~であるべき”ということが裏切られたときです。この許容度を三重丸で表します。一番中心は“許せるゾーン”、つまり自分の考える“べき”とまったく同じ状態です。そのまわりが“まあ許せるゾーン”で、中心の“べき”とは異なりますが、許容できる状態。そして一番外側が“許せないゾーン”となります」

 この三重丸をハッキリ意識できるようになると、0か100だけではない、怒りの状態をより具体的に把握できるようになるといいます。“まあ許せるゾーン”を広げられれば、ちょっとしたことでイライラすることは少なくなるでしょう。この線引きが明確になると、怒る必要のあるときとそうでないときを明確に切り分けられます。つまり、上手に怒りと付き合うことができるようになるわけです。

3週間でアンガーマネジメントのベースを作り上げる

 これまで紹介したアンガーマネジメントの基礎は、3週間あれば習慣化できるようシステマチックに組み立てられています。この期間に渡って練習を続けられれば、アンガーマネジメントの基礎が習慣となり、当たり前にできるようになるといいます。

「アンガーマネジメントは多くの人にとって即効性が期待できます。初めての知識や技術を習うことで、初日で大きく変わる人もいるでしょう。以後はダイエットと同じで、継続することが大切です」

 曖昧模糊としていた怒りの感情を“言語化”と“数値化”で見える化して、上手に付き合っていくアンガーマネジメント。いずれも手軽な手法ですぐに実践可能です。メンタルトレーニングの一環として、導入するアスリートは今後ますます増えていくでしょう。

[監修者プロフィール]
安藤俊介(あんどう・しゅんすけ)
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会 代表理事。アンガーマネジメントコンサルタント。企業、教育現場にある怒りの問題を解決する専門家。怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニング「アンガーマネジメント」の日本の第一人者。文部科学省も注目している感情理解教育「アンガーマネジメント」の理論、技術をアメリカから導入する。教育現場から企業まで幅広く講演、企業研修、セミナー、コーチングなどに日々奮闘している。また、アンガーマネジメントのトレーナーの育成にも力をいれている

<Text:舩山貴之(H14)/Photo:舩山貴之、Getty Images>

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