勉強もスポーツも高めていきたい。その信念が大学受験やアメリカ公認会計士資格取得につながった。陸上・横田真人(後編)│子どもの頃こんな習い事してました #8 (2/3)
トップの選手は、それだけでさまざまな仕事が来ます。その立場に行くことがスポーツ界の目標のように思われがち。しかし、ごく限られたパイを争わなければならないので、いわばレッドオーシャンです。それなら僕はブルーオーシャンに行きたい。100人のうち「おもしろい」と思ってくれる人が1人でもいれば十分だし、そういう自分づくりが大事だと思う。
あまのじゃくな性格が、結果としてよかったのかもしれないですね。すでに人が集まっているところに行くのは遅い気がしてしまうんですよ。他人と違うことを始めたほうが楽しい。駅伝でそこそこの選手になるほうが、800メートルでトップになるよりメディアに出る機会は多いと思うけど、僕にとってはオリンピックに日本人が出ていない競技で出たほうが価値があるんです。いずれにせよスポーツは自己満足ですしね。
――そういった考え方をするようになったのは、ご両親の影響もありますか。
いや、両親は特になにも。サッカーと英語以外何も強制したことはありません。「勉強しろ」とも言わなかった。2歳上の姉がいて、同じ環境に育ちましたが、性格は全然違いますし、スポーツはあまりしない。文系です。
ただ、それなりに勉強させる学校に通っていたことの影響は大きい。その点は、両親に感謝しています。そういう学校がイヤになる子もいるかもしれないけど、僕の場合は、多少遊んでも「やることはやる」「陸上と勉強はしっかり取り組む」と決めていました。コアな部分では楽なほうに流されないように、意志を強く持っていました。
僕は、勉強とスポーツ、両方のレベルが上がると世界が変わると思っています。ふつうであれば会えないような人と会えるようになるし、新しいものが見えてくる。そこでまたその人と同じ土俵で話したいと、さらに両方引き上げたいと思うようになりました。
「だめでもいい」、親は戻る場所の確保を
――キャリアについてはとても客観的な考え方をしていますが、一方で競技においては「行ける」と自分の思いにフォーカスする一面もありますね。