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「子どものため」が「虐待」に。小児科医が警鐘を鳴らす「教育虐待」とは (2/2)
専門家が提案する新しい親子関係の築き方
「子どもには、複数の正しいと思われる選択肢を提示して、必ず自分で選ばせる。何を選んでも結果としてうまく行かない場合も多いのですが、その失敗が良いんです。失敗すると当然後悔するわけです。自分で決めたことで後悔するのはいい勉強です。親の意見にいやいや従って失敗したら、後悔ではなく恨みになります。そして、『失敗もいい経験だ』と言ってくれる両親の存在も大切です。そういう安心感が子どものリテラシーを育みます」と高橋先生は新しい親子関係の築き方を提案します。
不安を抱えたとき、専門家への相談も重要な選択肢
「『もしかして自分は教育虐待をしているのでは?』と悩む親御さんこそ、気軽に小児科医に相談してほしいと思います。悩む、迷うということは子どものことを考えているということ。その気づきを大切にしてほしいですね」と高橋先生は話します。
「不登校も、教育虐待かもといった漠然とした不安も、『悩んでいるなら、だれかに相談』が原則です。予防接種などのついでに一度医師に相談することです。医師には守秘義務があります。例えばご主人には内緒に、という希望は多いです。また、どんなに小さな子どもでも『ママには言わないで』と言われれば、約束を守ります。裏を返せば、まずは気軽にご相談ください。悩むより相談です。適切なサポートを受けられる可能性もあります」
監修者プロフィール
新百合ヶ丘総合病院・発達神経学センター長・名誉院長
慶應義塾大学名誉教授(小児科学教室)。医学博士。専門は小児科一般と小児神経。
1982年慶應義塾大学医学部卒業。1988 年から米国マサチューセッツ総合病院小児神経科に勤務、ハーバード大学医学部の神経学講師も務める。1994年に帰国し、慶應義塾大学小児科で、医師、教授として活躍、2023年より現職。趣味はランニング。マラソンのベスト記録は2016年の東京マラソンで3時間7分。 別名“日本一足の速い小児科教授”。著書に『小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て 』(マガジンハウス)がある。
<Edit:編集部>