2017年8月18日

天皇杯で衝撃ジャイキリ!フィジカル革命軍「いわきFC」に聞いた、スポーツキッズのトレーニングとは? (3/3)

「フィジカルトレーニングに関しては、いまのところ他のクラブの同世代と比較して際立った点はないと思います。いわきFCというクラブ自体が立ち上げて間もないこともあり、U15のトレーニングメニューを見極めている段階なので、今後は少しずつ変わっていくと思いますが」

 その一例として、現在はトップチームで奏功したフィジカルトレーニングメソッドの導入を計画中だとか。

「トップチームでは遺伝子検査で“速筋”と“遅筋”の割合を分析し、選手ごとに最適なトレーニングメニューを組むと、驚くほどの効果が出ました。生まれ持ったフィジカルの個性に合わせたトレーニングはアカデミーでこそ取れ入れるべきですから、積極的にチャレンジしたいです」

 さらに、ユニークなのが株式会社ドームのノウハウを生かし、教育面からフィジカル強化をサポートしていることです。

「U15の選手たちには、ドームのアセットである『フィジカル』と『栄養学』のノウハウを教えています。自分のフィジカルの状態や必要なトレーニング、今とるべき栄養は何で、そのためにどんな食事が望ましいのか、時にご両親も含めて学んでもらっています」

 フィジカルと栄養学に加えて、U15では語学や睡眠の教育も行っているそう。この辺りは、いわきFCのアカデミー運営の目的が関係しています。

「トップチームに何人上げるとか、そういったスケールではないんです。世界で通用するアスリート、もっと言えばスポーツ以外でも世界で通用する人材をいわきから輩出するのがアカデミーの目的です。そのため、語学や睡眠まで含めた教育に力を注いでいます」

 ここでは詳細まで書き尽くせませんが、いわきFCが思い描くゴールは、スポーツの真の産業化にあります。スポーツを通じて経済を回し、街を豊かにし、“いわき市を東北一の都市にする”ことをミッションにかかげています。その一環として実施しているのが、Jリーグをはじめとした他のクラブでは見られないアカデミーの無料化です。

「世界のトップのスポーツクラブは育成にお金を使います。我々も同じようにトップチームで得た収益を地域の子どもたちに還元し、世界で通用するアスリートや人材を輩出することで、いわきの街がどんどん活性化するという好循環を生み出したいです」

 いわきFCは昨年から本格始動した新しいクラブであり、U15の話にあったようにアカデミーのトレーニング方法も、今後いろいろと刷新されそうです。それでも、小学生年代の運動能力へのこだわりや、中学生年代の教育の話など、スポーツキッズを育てている・育てたい方々なら、思うところがあったのではないでしょうか。

<Text:保足浩司/Photo:いわきFC>

1 2 3