2018年5月7日

東日本大震災から7年、被災地の"今"を知る。宮城県「仙女ウルトラマラニック」プレ大会レポ(後編) (2/2)

 石巻付近では、歩道もまだ整備されないまま。砂利道を走ることが少なくありません。道路は多くの工事車両が行き交い、それらのほとんどは復興作業に携わるものなのでしょう。私は関東に住んでいますが、毎年3月11日の時期を除き、テレビなどでも被災地に関する情報はあまり目にしなくなりました。しかし現地では、まだまだ復興途中。そしておそらく1年後に訪れれば、道路の様子などは大きく変化しているのでしょう。

 女川町に到着して最後に訪れるチェックポイントは、震災の被害情報や地元民からのメッセージが掘られた石碑です。すでに暗闇となり文字は見にくいなか、皆さんヘッドライトで照らしながら、その文章を読んでいます。震災を忘れぬよう、地元の方々はこうして後世へと歴史を繋いでいるのです。

 自然資源など宮城県沿岸部の魅力を感じ取り、そして、震災被害を受けた地域の現状をその目で見ながら走る。実際に80km部門を走ってみて、とても意味深い時間になったと感じています。これは、おそらく他ランナーも同じ思いなのではないでしょうか。

 旧野蒜駅に設けられた資料館などは、知らずに通過してしまったランナーもいたとのこと。本大会が開催される場合には、ぜひそうしたスポットも見落とさぬよう、地図で知らせるなどしてもらえると素晴らしいと思います。次に訪れたときは、復興作業によってどのような町並みに変化しているのか。ぜひ晴天で七ヶ浜・松島の絶景を眺めると共に、その変化を確かめに訪れたいものです。

▼あわせて読みたい
被災地の“今”をランを通じて知る。「東北・みやぎ復興マラソン2017」大会レポ(前編)
復興地を走る意味を考えた。「東北・みやぎ復興マラソン2017」大会レポ(後編)

・仙女ウルトラマラニック 公式サイト
https://www.semnyo-marathon.info/

[筆者プロフィール]
三河賢文(みかわ・まさふみ)
“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、学生時代の競技経験を活かし、中学校の陸上部で技術指導も担う。またトレーニングサービス『WILD MOVE』を主宰し、子ども向けの運動教室、ランナー向けのパーソナルトレーニングなども行っている。3児の子持ち。ナレッジ・リンクス(株)代表。
【HP】http://www.run-writer.com

<Text & Photo:三河賢文>

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