なぜ性格は顔に出ると言われるのか?その理由を専門家に聞いたところ… (1/5)
「性格は顔に出る」という言葉を、一度は耳にしたことがあるでしょう。初対面の人の顔を見て、「優しそう」「怒りっぽそう」と感じた経験はありませんか? あるいは、長年の友人の顔つきが変わったと感じたことは?
この「顔に性格が出る」という感覚は、単なる思い込みなのでしょうか。それとも、科学的な根拠があるのでしょうか。美容外科・SOグレイスクリニック院長 近藤惣一郎先生に聞きました。
なぜ「性格は顔に出る」と感じるのか
私たちはなぜ、顔を見ただけで相手の性格を推測してしまうのでしょうか。その背景には、繰り返し無意識に表れる表情が深く関わっています。
よく使う表情が顔に定着する
人間の顔には、約40種類以上の筋肉があります。これらの表情筋は、感情を表現するために動きますが、同じ感情を繰り返し経験すると、その筋肉が発達したり、特定のシワが刻まれたりします。
たとえば、よく笑う人の目尻には笑いジワができます。逆に、しかめっ面をすることが多い人は眉間にシワが寄りやすくなります。筋肉の使い方の癖が、顔に影響を与えるためです。
| 感情 | 関連する表情筋 | 顔への影響 |
|---|---|---|
| 喜び・笑顔 | 大頬骨筋、小頬骨筋 | 目尻の笑いジワ、頬の位置が高くなる |
| 怒り・不機嫌 | 皺眉筋、鼻根筋 | 眉間のシワ、眉が下がる |
| 不安・心配 | 前頭筋 | 額の横ジワ、眉が上がる |
| 軽蔑・嫌悪 | 口角下制筋 | 口角が下がる、への字口 |
思い当たる部分はありませんか? 日常的に抱いている感情が、長期的に顔の形や表情の癖として定着していくのです。
日常的に感じている感情が顔に「蓄積されている」
緊張しやすい人は、常に顔の筋肉に力が入りがちです。特に、顎や額、眉間に力が入ると、「険しい顔」「疲れた顔」に見えます。
逆に、リラックスしている人の顔は、筋肉が緩んで柔らかい印象を与えます。
つまり、性格そのものが顔に刻まれるというより、「日常的に感じている感情や、表情の癖が顔に蓄積される」というのが正確です。
その「一瞬の無意識な表情」を相手は感じ取っている
人は、相手の顔から驚くほど多くの情報を、無意識に読み取っています。
0.5秒以下という一瞬だけ現れる無意識の表情を「マイクロ表情」と呼びます。心理学者ポール・エクマンの研究によって知られるようになりました。
本人は隠しているつもりでも、本当の感情がほんの一瞬、顔に浮かびます。嫌悪、恐怖、怒り、悲しみなどの感情は、意識的にコントロールする前に、反射的に顔に出てしまうのです。

プリンストン大学の研究によると、人は他人の顔を見てわずか0.1秒で第一印象を形成します。この瞬間に、「信頼できそう」「攻撃的そう」などの判断を下しているのです。
この判断は、顔の形だけでなく、表情、目線、筋肉の緊張状態など、複合的な要素から瞬時に行われます。
表情の読み取りは生存本能
なぜ私たちは顔からこれほど多くの情報を読み取るのでしょうか。それは、進化の過程で身につけた生存本能です。
古代の人類は、相手が敵か味方か、危険かどうかを瞬時に判断する必要がありました。顔の表情から相手の意図を読み取る能力が高い人ほど、生き延びやすかったのです。
この本能は現代にも受け継がれ、私たちは無意識に相手の顔を分析し、性格や意図を推測しているのです。
次:「性格は顔に出る」の客観的根拠とは










