 
          なぜ性格は顔に出ると言われるのか?その理由を専門家に聞いたところ… (2/5)
「性格は顔に出る」の客観的根拠とは
「性格は顔に出る」という感覚は、科学的にどこまで裏付けられているのでしょうか。関連する研究を見ていきましょう。
ポール・エクマンの表情研究
心理学者ポール・エクマンは、世界中の様々な文化圏で、基本的な感情(喜び、悲しみ、怒り、恐怖、嫌悪、驚き)の表情が共通していることを発表しました。(Ekman & Friesen, 1971)
さらに、彼は嘘をついている人が無意識に見せる微表情を分析し、表情から感情や性格傾向をある程度読み取れることを示しました。
表情と性格には相関関係があるという研究も
いくつかの心理学研究では、顔の特徴と性格特性(外向性、協調性、誠実性、神経症傾向、開放性)の間に、弱いながらも相関が見られることが報告されています。(※1)
たとえば、外向的な人は笑顔が多く、その結果として目尻のシワが多い傾向があります。また、神経症傾向が高い(不安を感じやすい)人は、眉間にシワが寄りやすいという報告もあります。
ただし、これらは統計的な傾向であり、個人差が非常に大きいことに注意が必要です。
顔認識AIで性格分析ができる?
近年、AIを使った顔認識技術が急速に発展し、顔の特徴から性格を予測する試みが行われています。
いくつかの研究では、数千枚の顔写真と性格テストの結果を機械学習させることで、AIが顔から性格をある程度予測できることが示されています。(※2)
たとえば、外向性や誠実性については、偶然以上の精度で予測できたという報告があります。AIは、人間が意識的には認識できない微細な顔の特徴(筋肉の緊張、目の形、口角の位置など)のパターンを学習しているとされています。

ただし、この予測精度は決して高くありません。多くの研究で、AIの予測精度は60〜70%程度にとどまっています。これは「偶然より少し良い」程度で、個人の性格を確実に判断できるレベルではありません。
また、AIが学習したパターンには、文化的・社会的なステレオタイプが混入している可能性も指摘されています。
次:決めつけはNG! 顔だけで性格は決められない「もっともな理由」








