ウェルネスフード
2023年7月24日

夏に「みそ汁」を飲むメリットとは。医師・管理栄養士が解説 (1/2)

暑い日が続き、夏バテに苦しんでいるという方も多いのではないでしょうか。そんな方におすすめしたい料理が「みそ汁」です。今回は、医師・管理栄養士も推薦する、みそ汁の効能について紹介します。

みそ汁はさまざまな栄養素をまとめて摂取できる食べ物

まずは、医師で、済生会横浜市東部病院において患者支援センター長/栄養部部長を務める谷口英喜先生のお話を紹介します。

谷口英喜(済生会横浜市東部病院 患者支援センター長/栄養部部長)​
脱水症・熱中症の専門家。「教えて!『かくれ脱水』委員会」副委員長も務める。著書「熱中症・脱水症に役立つ 経口補水療法ハンドブック 改訂版」「イラストでやさしく解説!「脱水症」と「経口補水液」のすべてがわかる本」など多数。

夏バテには「スタミナ/栄養不足」「発汗による脱水」「睡眠不足」「自律神経の乱れ」などさまざまな要因がありますが、そんなときに活躍するのがみそ汁です。

「みそ汁は様々な具材を入れられることで、たんぱく質をはじめ豊富な栄養素をいっぺんに摂取できるほか、食事を通じて適度な塩分と水を摂れるので、脱水の予防にも適しています」(谷口先生)

夏なら「冷やしみそ汁」がおすすめ​

「とくに冷やしたみそ汁は暑い日にも食べやすく火照った体をクールダウンしてくれますし、発汗で失われた水と塩分、カリウムを同時に適度に補給することができたり、大豆に含まれるビタミンB1がエネルギー代謝を促し、バテにくい身体づくりをサポートしてくれるので、夏の時期には積極的にいただきたい食べ物ですね」(谷口先生)

Twitterフォロワー34.5万人の料理研究家・ジョーさん。考案の夏みそ汁

自律神経の乱れも整えてくれる

北嶋先生は自律神経の乱れに対するみそ汁の有効性も挙げています。

「自律神経系が乱れると、腸の働きが鈍くなり腸内環境悪化の悪循環が生まれ、夏バテの原因になりえます。味噌に含まれている善玉菌や、具材に含まれる食物繊維の働きで腸内環境を整えましょう。​とくに夏は室内外の温度差が大きいことで、より自律神経が乱れやすいので注意が必要です」(谷口先生)

夏バテの一因である睡眠不足もみそ汁で対策

次は、管理栄養士の北嶋佳奈さんのお話も聞いてみましょう。

北嶋佳奈(管理栄養士・フードコーディネーター・株式会社Sunny and代表取締役)
料理本出版、レシピ・メニュー開発、コラム執筆、イベント・各種メディア出演など幅広く活躍する管理栄養士。​

北嶋さんによれば、「味噌に含まれる『メラノイジン』は、強い抗酸化作用を持ち、食物繊維のように腸内環境を整える働きがあるとされるため、より夏バテ予防の効果を期待できます」とのこと。

その上で、夏バテの一因である睡眠不足にも、みそ汁が良い影響を与えると解説しています。

「良質な睡眠にはメラトニンという神経伝達物質を夜しっかりと分泌させることが大切です。メラトニンの素になるセロトニンはほとんどが腸内で作られるため、腸内環境を整えてくれるみそ汁は睡眠の質を良くする効果が期待できます。さらに味噌など大豆食品にはセロトニンの素となるトリプトファンが多く含まれているので、みそ汁は『快眠』のためにも積極的に摂りたい食べ物です」(北嶋さん)

最近では、睡眠の質に悩む方も多いといいますから、睡眠不足に悩んでいる方は積極的にみそ汁を摂る食生活を心がけるとよいかもしれません。

夏太りもみそ汁で対策を

発酵食品である味噌の機能と具材の食物繊維のW効果で、太りにくく痩せやすい体質を作ることも可能だと、北嶋さんは語ります。

「夏は体温と外気の温度差が少ないことや、運動を敬遠し筋肉量が減ることで基礎代謝が低下し、むくみや寝不足の発生も相まって太りやすい季節なんです」(北嶋さん)

味噌の食物繊維による腸内環境の改善や、血流がよくなることで栄養の吸収効率アップ、また味噌と具材でタンパク質を補うことで筋肉の減少も防ぎ、基礎代謝の向上を目指します。むくみ予防にも大変効果的です。

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