スクワットで膝が痛くなる、なら「この運動」からトライ!
日々の運動に取り入れている方も多いスクワット。しかし、中には膝が痛くなるという方も。
そんな方には、まずウォーキングがおすすめ。今回は、関町病院の院長で整形外科医の丸山公先生が教える正しいウォーキングについて紹介します。
いきなりスクワットはNG!まずはウォーキング
手軽な運動として考えられているスクワットですが、「運動不足で筋肉が弱った体で急に激しい運動を始めると膝痛の原因になります」と丸山院長は語ります。
とくに「ディープスクワット」と呼ばれる、立った姿勢から膝を深く曲げるスクワットは、運動不足の人や膝に不安のある人には危険が伴うそう。
「スクワットで傷めるのは膝の上下の関節の間ではなくて、お皿の裏側と大腿骨の間、『膝蓋大腿関節』と呼ばれるところです。普通の病院で撮る2枚のエックス線写真では映らず、専門的な特殊な角度から撮らないと、傷めたお皿の裏側は映りません。原因が追及できず、痛み止めだけの治療になる可能性があります」(丸山院長)
丸山院長によれば、運動不足を解消したいなら、筋トレよりも歩くことが先決。「ほとんど運動をしていなかった場合は、1日15〜30分(のウォーキング)で十分です」と語っています。
ただ歩くだけじゃもったいない! 丸山流ウォーキングのやり方
「じゃあ、今日からウォーキングを始めよう」という方もいるかも知れませんが、丸山先生によれば、「ただ歩くのではなく、お腹を引き上げ、脚の内側を意識して歩くのがポイントです」とのこと。
“丸山流ウォーキング”のやり方について、丸山院長は以下のように語っています。
「靴底の内側を使って、かかとからつま先に重心を移しながら脚を運びます。力を抜くとかかとの外側から着地して歩くので腹筋を使ってお腹の引き上げを意識しましょう。腹筋を使うと、太腿の内側の内転筋が締められるので、O脚が防げます」(丸山院長)
お腹に力を入れると、はじめは呼吸が難しく、話しながら歩けなくなるかもしれませんが、丸山院長によれば「慣れてくると話せるようになります」とのこと。これなら楽しく続けられそうですね。
ちなみに、膝を痛めたときの対処法は?
そんなこんなで、スクワットからウォーキングにすんなり移行できれば良いのですが、もし、膝を痛めてしまった場合はどうすればよいのでしょうか?
「膝が腫れている場合は、すぐに整形外科の受診をしてください。腫れはなく痛みが強くなければ、安静にして冷やして湿布を当てればよいでしょう。膝のお皿は大腿骨の上に乗っています。体重がかかると圧力がかかり、曲げるとさらに圧力がかかります。正座したときの状態が一番膝にきつい姿勢です」(丸山院長)
膝痛の治療は、場所や痛みの具合によっても変わるそうで、「お皿の裏が痛くて腫れていれば、それが引くような治療を行います。水があればそれを抜いた後、私の場合はステロイドを使って腫れが引いてからヒアルロン酸という軟骨保護剤を使います」としています。
膝のトラブルを予防するには
膝のトラブルを予防するには、減量と運動が大切です。
「体重が多い人は、膝への負担が大きいので減量しましょう。しかし、体重を減らすために過激な食事制限を行うと、栄養が十分に摂取できず、骨粗しょう症になる恐れがあるので注意が必要です。骨粗しょう症になると膝の変形が進み、トラブルを助長してしまいます」(丸山院長)
これを予防するには、筋肉をつけつつ減量を行うことが有効としています。
「減量には筋肉をつけることが大切です。適度な運動を行い脚の筋肉を増やしましょう。ただし、前述したように急激に負荷の高いスクワットなどは厳禁です。膝に負担を与えない丸山流ウォーキングや、仰向けに寝て両脚を持ち上げ30度の角度で30秒~1分間保ってみましょう。脚の筋肉だけでなく、同時に腹筋も鍛えられるのでチャレンジしてください。また、ラジオ体操など体に無理のない体操もオススメです」(丸山院長)
栄養面では膝の軟骨に有効な成分を摂取することが重要とのこと。
「軟骨を構成する成分の産生を促進するサプリメント、コラーゲン・トリペプチドの摂取が有効なことが研究で分かってきています。既に膝痛がある人は、他の療法と併用することでも可能で、治療効果が上がります」(丸山院長)
運動することや、その意識は大切ですが、正しい方法でやらないと逆効果になってしまうこともあります。皆さんも、まずは“丸山流ウォーキング”を試してみてくださいね。
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<Text:辻村>