納豆を「週2~3回以上」食べる高齢者、軽度認知障害・うつ傾向が少ない傾向。616人を調査
ご飯のお供としておなじみの「納豆」。週に何回くらい食べていますか?
ミツカン グループイノベーションセンターと鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 心臓血管・高血圧内科学分野の大石充教授による共同研究で、納豆を週2~3回以上食べる習慣がある高齢者では、軽度認知障害(MCI)やうつ傾向が少ない傾向にあることが明らかになりました。
研究では、鹿児島県垂水市に住む65歳以上の高齢者616名の健康チェックデータを解析しています。
「週2~3回以上の納豆」で軽度認知障害が少ない傾向
今回の研究では、鹿児島県垂水市で実施されている健康チェックの2019年度データを使用。65歳以上の616名を対象に、納豆を食べる習慣と軽度認知障害、うつ傾向との関連を調べました。
その結果、納豆を週2~3回以上食べている人では、軽度認知障害との間に負の関連が確認されました。
軽度認知障害とは、認知機能に低下がみられるものの、日常生活への影響は比較的小さい状態。認知症の前段階ともされ、高齢期の認知機能を考えるうえで重要な状態です。
「うつ傾向」も少ない傾向に
関連が確認されたのは、認知機能だけではありません。週2~3回以上納豆を食べる習慣がある高齢者では、うつ傾向についても負の関連が認められました。
さらに研究では、単純に「納豆をよく食べる人」と「そうでない人」を比べただけではなく、認知機能やうつ傾向に関係する可能性がある、「年齢・性別・教育歴・身体フレイル・ほかの大豆製品の摂取」といった複数の要因を考慮して解析。
これらを調整した後も、納豆を食べる習慣と軽度認知障害・うつ傾向との負の関連が確認されたといいます。
なぜ「納豆」に注目した?
高齢化が進むなか、食事や運動など、日々の生活習慣と認知機能の関係には大きな関心が寄せられています。
日本で古くから食べられている納豆についても、これまで認知機能との関連を調べた研究は行われてきました。しかし、その結果には一貫していない部分があり、納豆とうつ傾向との関連を調べた研究についても、これまでは対象者が妊婦に限られていたといいます。
そこで今回、高齢者を対象として、納豆の摂取習慣と「軽度認知障害」「うつ傾向」の両方との関連が検証されました。
「納豆を食べれば認知症を予防できる」という意味ではない
ここで注意したいのが、今回の研究から「納豆を週2~3回食べれば認知症やうつを予防できる」と結論づけることはできない点です。
今回使用されたのは、2019年度の単年データ。同じ時点で「納豆を食べる頻度」と「軽度認知障害やうつ傾向の有無」を調べた横断研究です。
そのため、納豆を食べたことによって軽度認知障害やうつ傾向が少なくなったという「因果関係」までは証明できません。たとえば、納豆を日常的に食べている人には、それ以外の食生活や生活習慣にも何らかの特徴がある可能性があります。
今回の結果は、あくまで「週2~3回以上納豆を食べる習慣がある高齢者では、軽度認知障害とうつ傾向が少ない傾向がみられた」という関連を示したものです。
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科心臓血管・高血圧内科学分野 大石充教授は次のように語ります。
「高齢社会の今日では認知機能障害と初老期うつ症は人生の質(QOL)に大きな影響を与える問題だと思います。医師としても認知機能とうつはデリケートな問題で、患者さんにテストをすることすらままならない現状です。そこで納豆を摂取するだけで軽度認知機能障害やうつを予防することができれば、これほどありがたいことはありません。もちろんメカニズム解析や介入研究で、本当に納豆が精神的健康に関与するのかを証明する必要がありますが、納豆は身体機能にも良いことは以前より示されているので、毎日の納豆摂取習慣で心身ともに健やかになることを期待しております。」
今後、同じ人を長期間追跡する縦断研究や、実際に納豆を摂取してもらう介入試験などによって、納豆と認知機能・こころの健康との関係がさらに検証されることが期待されます。
大石充教授プロフィール
1990年大阪大医学部卒業、2007年同大医学系研究科講師、2013年から鹿児島大学大学院医歯学総合研究科心臓血管・高血圧内科学分野教授を務める。医師への高血圧治療の指導を行う循環器内科のスペシャリストであり、地域医療の底上げに尽力。2017年からは垂水スーパーバイザーに就任し、多職種によるチーム医療コホート研究を推進。さらに、産学行連携の共同研究体制を強化し、長期的な情報発信を目指している。
<Edit:MELOS編集部>
毎日納豆1パック食べ続けた結果、どうなる?1ヶ月の変化を医師が解説








