インタビュー
2020年2月18日

[特別企画]2020年、チームあすか大集合!メンバーが知る寺田明日香とは│寺田明日香の「ママ、ときどきアスリート~for 2020~」#35 (2/3)

チーム結成当初から変化したことは?

寺田:チームといっても、みんなには私だけを見てほしいとは思ってなくて、それぞれ仕事があるなかで、「寺田明日香」に時間を少しくださいという感じで思っていました。一昨年、陸上復帰するときに「ゆるく」いけたらなって思っていたんだけど、最近チームの雰囲気が変わったなって感じることはある?

佐藤:でもさ、去年の12月24日に合宿してるよね。ぜんぜん、ゆるくないんじゃない?

寺田:たしかに。みんなのクリスマスを奪って申し訳なかったけど、一軒家で過ごして楽しかったです(笑)。でも私はゆるくいきたいというつもりだったんだけどな。

廣松:「ゆるい」というか、いい雰囲気をつくってくださっているなというのは以前から感じていました。栄養士としてご自宅に伺って調理したりするのも、いい意味で気をつかわずにやらせていただいていますね。

齋藤:厳しくみんなをまとめてるっていう感じではないですよね。そこが明日香さんのリーダーシップ力だなと思っています。でも世界陸上をきっかけに、世界を意識するようになって、もっと綿密にトレーニングをしていかなきゃいけないなと。でもチーム自体の雰囲気は変わらず、みんなのアドバイスやメニューの精度が高まった気がしますね。

奥隅:私も世界陸上に出ている明日香さんを見て、世界の壁はまだまだ高いなと痛感しました。サポートする側も成長しなきゃなきゃいけないなって、思い直すきっかけになりましたね。

寺田:たしかにみんなの合格ラインは上がったよね。世界と比べたらまだまだだから、基準を上げていこうって話しをして。「ここまででいい」と思っても、それでは足りないから厳しめに評価しようって決めたよね。

田中:明日香さんはいつも明るくポジティブですが、トレーナーとしてはゆるさを感じたことはありません。ただ、0.01秒の差で勝敗が決まるすごい世界なので、自分個人としてももっと精度を上げないといけないなと思っています。

高野:出会った当初はお互いの距離が遠かったので、けっこうゆるめのスタンスで、これやってみる? これどう? って聞きながら練習していました。でも日本選手権や世界陸上で負けてからは、やらなきゃいけないポイントが絞れたのでそれに対して厳しくやるようになってきたかな。それがいいか悪いかは別にしてね。ただ、練習メニューに関してはゆるいね。

寺田:うん、書き方がゆるい。内容はゆるくないんだけど。

高野:今日のアプローチ練習は「好きなだけ!」とかね。

寺田:そうそう、満足するまで! とか、今週のメニューは、「スプリントorハードル、天気によって」とか。

高野:それが2日間続くとかね。あとは型にはめてやるというよりはそのつど、本人のニーズに合ったものをやるという意味では一定のゆるさがあるかもしれないね。

寺田:そういえば、好きなだけって言って、なんだかんだやってしまうんだよね。あれって私はやりたがるってわかっているから?

高野:ですね。じゃなきゃ書かないです(笑)。

寺田:そうだったんだ。最近は好きなだけのときがうれしい。制限がないので自分が満足したときに止められるから、けっこうありがたいんです。

佐藤:私生活の面から言わせてもらうと、僕は「ゆるい」と思ったことは一切ないです……。なので、僕への当たりはこれ以上厳しくせずにお願いします(笑)。

他メンバー:厳しいらしい(笑)。

寺田:すみません(笑)。

メンバーが知る「寺田明日香」って?

齋藤:明日香さんってチームマネージメントを自ら行うリーダーシップとコミュニケーション能力、本当にすごいですよね。

寺田:なんか面と向かってほめられるのは恥ずかしいなー。でも、こんな機会だからメンバーが感じている「寺田明日香」について教えてもらおうかな(笑)。

齋藤:やりやすくなるようなチームの雰囲気をつくっているし、とにかく人を見てるなって思います。アスリートとは思えない器用さと協調性があって、キャラクターも本当最高です!

田中:たしかに。フィジカル的にすごいと思うのは、ラグビーを経験したことで得た基礎の筋力ですね。だからベースとなる100mのスピードがまだ上がる可能性を秘めています。でも単純に、1回引退して結婚出産して7人制ラグビーやって、まわりからの批判も覚悟したうえで、陸上に戻って挑戦しているのはすごいなと思います。

藤本:たしかにそのストーリー性は強いし、影響力もかなりありますよね。なにより明日香さんは、まわりに対して気配りができるところが本当にすごいし、問題を解決しようとする力もあると思います。明日香さんだから上手くチームが回るし、組織マネジメントとしても学ぶことしかないです。

廣松:たしかに! 食事面のアドバイスについてご自身で考えて、自分でどうにかしてみようとチャレンジされていますね。競技だけにならずに私生活とメリハリつけているのがすごいですよね。

奥隅:本当、ママとアスリートを両立しているのはすごいと思いますし、明日香さんは自分に関わるすべてのものをプラスに変えて突き進んでいますよね。

高野:僕は学生含めて50人くらい見ているけど、明日香さんは、自分の体の感覚をとてもよくわかっているなと思います。たとえば、もっと腿を高く上げたほうがいいと指摘すると、単純に腿を上げる意識をする人が多いけど、実は腿じゃなくて膝に注目してみるとか。自分でやりたい動作に対して、意識をいろいろ変えられるのは本当にすごいところ。

寺田:なんかうれしいね。高野さんにそう言われると。

高野:あと身体のバネは女子選手のなかでぶっちぎりにすごいし、何度もトライできるところもすごい。1個のことができないと、練習メニューが終わらないときもあるよね。僕は一生懸命「寺田明日香」の走っている視点で考えるけど、明日香さんも動画を見て、僕がどう見えているのか理解して考えてくれるので、動きに対するやりとりがしやすい。

齋藤:そうなんですよね。感覚と理論を両方理解してくれるので、トレーナー目線の話に共感してくれるのもすごいと思ってます。

寺田:ラグビーのときに自分の動きがななめ上から見えるようになったんですよね。それが陸上に活きているかな。前の陸上選手時代は自分の感覚しかわからなかったけど。ところで、佐藤さんの考える寺田明日香のすごいところは?

佐藤:うーん、腹筋かな。あとすぐアドレナリンが出せるとこもすごい。

他メンバー:(大爆笑)

佐藤:みんなすごいほめるから、あえてのね。ていうか、明日香に直してほしいところは、ないの?

他メンバー:う~ん、本当にないかも。ラインの返信が遅いくらいかな(笑)。

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