2018年8月10日

7人制ラグビーW杯観戦で心に誓う│寺田明日香の「ママ、ときどきアスリート~for 2020~」#9 (2/3)

世界レベルのラグビーを肌で感じて

 今回の日本の成績は男子が16位、女子は10位で、優勝した国は男女ともにニュージーランド。上位の国と下位の国とを見比べていると、上位の国はどの選手がボールを持ったとしても、ほぼ全員が前に出る力と技術を備えていて、下位のチームはキープレーヤーにボールが集まりがちになったり、ボールが停滞して相手チームに取られたりすることが多かったように思いました。

 普段は、体のぶつかり合いや選手の息づかいなど、ラグビーならではの迫力を近くで見て、感じることが“ラグビーの魅力”です。でも、今回は選手の個々のポジショニングや走るコースの取り方、チームとしてどのようにフィールドを使って、どのくらいの距離のパスをどのようなタイミングで投げるのかなどを見たかったので、全体を見渡せる3階席から観戦しました。

 やはり各国にキープレーヤーがいて、上位のチームはひとりがゲイン(=ボールを前に運ぶこと)した後、いつの間にかキープレーヤーにボールが渡っていて、ビッグゲイン(=より前に運ぶこと)やトライをしています。それぞれの選手のハンドリング技術の高さや、視野の広さなど個々の理解度と能力の高さがあるからこそ、チーム全体が高いレベルでプレーできているのだと思います。

 私はまだ体験したことがないのですが、ラグビーやサッカーなどの広いフィールドで長くプレーしてきた選手からお話を聞いたときに、「調子が良いときは、上から見ているように自分の位置や相手の位置が把握できる」と仰っていたので、きっとそのような選手たちは、こんな風景がプレー中に見えているんだろうと、想像しながら観ました。

 ニュージーランドやオーストラリア、フランス、アメリカなどの強い国は、両サイドタッチラインぎりぎりでポジショニングをするなど、フィールドを横幅いっぱいに広く使っていたことが印象に残っています。

 ディフェンスをする側から考えると、横に広くポジショニングされると1人あたりの守備範囲が広くなるためディフェンスしにくくなりますし、アタック側から考えるとスペースが広くなります。

 1人ひとり攻められるスペースが広くなって選択肢が増える分、正確かつ長い距離のパスを投げられるハンドリング能力がないと、ハンドリングエラーやボールを持って走っているプレーヤー(キャリア)が孤立してしまうことが考えられるので、基礎部分の水準をどれだけ上げられるかが、私にとって重要な鍵になるな~と感じながら観ていました。

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