2019年6月28日

日本で唯一のチーランニング公式インストラクターに聞く“走力レベルアップ”のポイント (2/3)

 しかし残念ながら、当時日本にはチーランニングのメソッドがありませんでした。そこで中島さんはアメリカへ行ってワークショップを受けることに。さらに感動は高まり、他の人にも教えたいという思いから勉強に取り組むことで、2010年に公式インストラクターとして認定されたのです。

「記録で言うと分かりやすいんですが、まず初めて走った長野マラソンは、完走タイムが5時間15分ほどでした。そして、チーランニングを習ってから2回目のフルマラソンに挑戦したのですが、そこでは3時間30分で完走。タイムにも、その成果が如実に現れました」 

 この経験から、中島さんは日本で唯一のインストラクターとして、チーランニングを教える立場で活動を始めたのでした。

インストラクターとしての取り組みとこれからの目標 

 インストラクターとして認定を受けた直後は、毎週日曜の朝に『サンデーモーニングラン』を行い、そこで走り方のレッスンを行っていたとのこと。そんな中、2011年に初めて東京都内でのワークショップ依頼があり、現在は1〜2か月に1回程度の頻度でワークショップを開催していると言います。 

「ワークショップに訪れる方は、走力アップを目指している方が多いですね。中には目標レースが決まっていて、そこに向けたトレーニングとして受ける方もいます。以前、社員同士の連携を高めるためにマラソンに取り組んでいるという企業から、60kmのウルトラマラソンに挑戦するという女性がいらっしゃいました。社長がチーランニングを知っていて、ワークショップを受けるように言われたそうです。結果、見事に完走されましたよ」

 特に中島さんは、初心者にこそチーランニングを知ってほしいと言います。特に走り方については、中学生あたりからしっかり学ぶと良いとのこと。そうすることで、走ることは苦しいものではなく楽なのだと知ってもらい、苦手意識はなくなるはずだと話します。 

「現在は私1人しか日本にインストラクターがいません。ですから、教えると言ってもその頻度・範囲は限られてしまいます。もっと日本でも広めていくために、マスターインストラクターとして“教える人を教える”立場を目指していきたいですね。また、少し企画を進めているものもあるのですが、企業とのコラボレーションなどにも取り組んでいきたいと思っています」 

 現在ワークショップは東京都内が中心。しかしインストラクターが国内に増えれば、自然と全国各地にチーランニングを学べる場が広がっていくことでしょう。 

中島さんの考える、走るために必要なこととは? 

 チーランニングでは走力アップについて、『SDFピラミッド』という考え方があるとのこと。まず土台となるForm(=フォーム/走り方)を学ぶことでDistance(距離)が伸びていき、自然とSpeed(スピード)が伴ってくるのだと言います。 

「日本では月間走行距離を目安にするランナーが多いのですが、必ずしも距離は走力アップの基準としてアテになるものではないと思っています。実際、例えば週1〜2回しか走らないのに、レースではしっかり記録を出しているランナーは少なくありません。よく『走らないと体力が低下する』なんて言いますが、例えば水泳や自転車、登山などだって、体力という面なら維持はできるんですよ。ですから、まず大切なのは“走り方”を身に付けること。脚だけでなく、腕振りを含めた各身体パーツの正しい使い方を知ってこそ、本当のランニングなのだということを意識してほしいですね」

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