2021年8月3日

東京オリンピック競技種目!スポーツクライミング「ボルダリング」の特徴&魅力

 2020年東京オリンピックの正式競技にスポーツクライミングが採用され、その種目のひとつである「ボルダリング」に注目が集まっています。初心者でも気軽に始められることもあって、近年愛好者も増えています。

 ボルダリングとは何か、その魅力に迫りましょう(監修:公益社団法人日本山岳・スポーツクライミング協会)。

ボルダリングとはどんなスポーツ?

 ボルダリングの語源のボルダー(boulder)は、辞書によれば「もとにあった場所から離された大きく滑らかな石の塊」となります。川原に転がっている大岩を思えば良いでしょう。それを登るのがボルダリング、ということですが、比較的小さな崖を登ることも含まれます。

 使ってよいのは、シューズと滑り止め用のチョーク(炭酸マグネシウム)だけ。安全確保にはロープを使わず、マットを着地点に敷いておこないます。ここからは人工壁を使うボルダリングに限定して話を進めていきます。

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【特徴1】ボルダリングの壁

 ボルダリングで設置されるのは5メートル以下程度の高さの壁(=クライミングウォール)で、手がかり、足がかりとなる複数の突起物(=ホールド)がついています。大会の模様をテレビ中継などで見たことがある人は、切り立った形状のものを思い浮かべることでしょうが、壁にはさまざまな種類・形状があります。

 たとえば「スラブ」と呼ばれる壁は90度以下に寝ています。「垂壁」は文字通り、地面に垂直に立った壁のことです。垂壁については一見難しそうに感じますが、垂直に立てかけられたハシゴを登ることがそれほど難しいことではないように、コース設定が単純であれば初心者でも十分に挑むことができます。

 この2種類が、初心者がボルダリングを楽しむための基本的な壁になります。そのほか上級者用に、上部が倒れこんだ形になっている「オーバーハング」、さらに傾斜が強く地面と水平に近い「ルーフ」などがあります。

【特徴2】ホールドと課題

 クライミングウォールにはさまざまな突起物「ホールド」が取り付けられています。クライマーはホールドを手足でつかみながら「完登」(ゴール=登りきること)を目指します。

 通常のクライミングジムでは、ひとつの壁の中にたくさんのホールドが付けられていますが、どのホールドを使ってもよいというわけではありません。使うホールドを指定することでさまざまなルートが設定されていて、ルートごとに登り方も難しさも異なっています。

 指定されたルートを「課題」と呼びます。課題の指定方法は、使うホールドをホールドの色で指定する(特定の色のホールドだけを使うと1つの課題になる)場合と、ホールドの脇に貼られたテープのマークで指定する場合があります。

 ホールドの形状も、つかみやすいものから、つかみづらいものまでさまざまです。どうつかむべきか、考え判断する戦略もボルダリングでは重要になります。

【特徴3】装備と安全性

 ボルダリングに限らず、クライミングには落下のリスクがあります。ボルダリングではロープを使いませんので、ジムでは床にはクッション性に優れたウレタン製のマットが敷かれており、また初心者用の壁は低くするなどのケガ防止策が講じられています。

 それでもケガを100%防ぐことは不可能です。クライマー自身にも、落下する際の転び方を学ぶなどの予防策が求められます。

運動経験、腕力がなくてもできるの?

 ボルダリングは鍛えてないとできないのでは? でも私は懸垂もできないし……。ボルダリングにそんなイメージを持っている人もいるでしょう。でも、心配は無用です。

 年齢、筋力などに応じたコース設定があるので、スポーツ経験がなくても、特別鍛えてなくても始めることができます。実際に都心部のジムでは、フィットネスの一環といった認識で始められる女性会員の方も少なくありません。

 後者を一言で説明するのは難しいですが、「課題」をクリアしていく楽しみは、おそらく参加者誰もが感じるところだと思います。

 「課題」は簡単に言えば、頂上へ向かうルートのことです。同じ壁でも複数のルートが設定されており、難易度の高い課題に向かうには、筋力・技術の向上が必要になります。そこに、できなかったことを克服していくというスポーツならではの楽しさを見出せるはずです。ぜひ体感してみてください。

監修:公益社団法人日本山岳・スポーツクライミング協会
https://www.jma-sangaku.or.jp/

<Text:瀬戸嶋 勝+アート・サプライ/Photo:Getty Images>