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ランニングにつきものの「痛み」。その原因と解決法とは? (3/3)

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 腹式呼吸は、背筋を伸ばし、鼻からゆっくり息を吸い、おへその下(丹田)に空気をため、お腹全体を膨らませる呼吸法です。下腹を膨らませるイメージといわれますが、お腹を前に出すというよりも、下腹と同時に背中側も意識して、お腹全体を膨らませるというふうに捉えるといいと思います。

 リラックスした状態から息を吸うと、横隔膜が下がり、内臓も下に押され、腰部のところの内圧=腹圧が高まってきます。このとき同時に、腹筋群や背筋を使って、腰部をシリンダー(円筒)状に保持します。呼吸法を使って腰の安定を図るこの方法を、専門的には「ブレーシング」と呼び、体幹を鍛えるコア・トレーニングなどでも、取り上げられています。

▲ブレーシングはおへその下(丹田)に空気をためることがポイント

 スポーツ選手は、運動しながらでも、呼吸と腹圧を使って、腰の安定性が確保できるよう体幹を鍛え、ブレーシングのトレーニングをするわけです。しかし、一般の方が、いきなりそこからスタートするのは難しいかもしれません。最初は、腹式呼吸で横隔膜が下がり、腹圧が高まっていくのを感じるところからはじめ、どの程度の腹圧のかけ方で腰部が安定するかを実感するのが、いいでしょう。

ウォーキングで体幹を意識

 ウォーキングやジョギングなど、あまり大きなパワーを求められず、一定の出力を維持し、持続することにポイントのある運動は、呼吸法を使ったブレーシングで体幹を意識し、腰部をホールドする感覚をつかむのに、適しているともいえます。

▲ウォーキングでは腰部、体幹部分を安定させる

 またウォーキングなどでブレーシングを使い、腰部、体幹部分を安定させることができれば、脚の筋肉は、姿勢が悪い場合にはバランス維持などに割かれていた負担を、身体を前に運ぶという本来の目的のために十分に使うことができます。

 手脚の運動のつながりは「筋膜連鎖」「筋の連鎖」などとも呼ばれますが、手脚の筋肉は身体の中心部の筋肉を通じて、すべて連結しており、足の運動は手の運動につながり、手の運動も逆に足の運動に影響を与えています。腰部の安定は、体幹を中心とした四肢のいい連環を生みだしてくれます。

 頭部から、首、胸部、そして腰部までが、一定の形を維持しつつ、四肢は進行方向に向かって、からだを移動させる推進力を生み出せる状態、これが、ジョギングやランニングなどで、痛みが発生せずにいられる基本の状態といえると思います。呼吸法や体幹の重要性について、ランニングを通じて知っていただければと思います。

まとめ 

 ランニングによる痛みの原因は、基本となる身体の動かし方ができていないために起こるとわかりました。走ったあとに起こる“痛み”を感じたら、自身の身体の動かし方を見直してみてください。

[監修]
黒木光(くろき・ひかる)
学校法人・日本リハビリテーション専門学校・理学療法学科講師。理学療法士。学術修士。2001年国際医療福祉大学卒、大学病院、介護老人保健施設、整形外科クリニックなどで臨床経験を積み、現在は、日本リハビリテーション専門学校で教育に従事している。また同時に小児の発達サポートや、老齢者のためのリハビリテーション支援活動も行なっている。2016年、チェコのプラハスクールにて、日本の理学療法士で2人目となるリハビリトレーニング理論「DNS」(動的神経筋安定化・発達運動学的アプローチ)の全コースを修了し、DNS療法士を取得
日本リハビリテーション専門学校 https://www.nitiriha.com

<Text:岸田キチロー/Photo:神谷渚>

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