ウェルネスフード
ライフスタイル
2023年2月4日

「朝ごはん食べる派」は“幸せ度”が高くポジティブ傾向。一方「食べない派」は?

吉野家と、東北大学ナレッジキャスト、東北大学と日立ハイテクによる脳科学カンパニー・NeUが共同で「朝食習慣と幸せ度・ライフスタイルに関する調査」を実施。結果を発表しました。

今回の調査は、20代から60代の働く人1,000人が対象です。調査はインターネットによるアンケート形式で、昨年10月に2日間行われています。

ちなみに、同調査は2010年にも行われています。

朝食を食べる習慣がある人は、幸せを感じる傾向が強い

調査では、朝食頻度と「幸せ度」との間に相関があることが見えてきました。

朝食摂取頻度別で見ると、朝食頻度が高い人ほど幸せを感じる傾向が強く、毎日食べる人と週1日以下の人では10.7点もの点差が見られました。

男性より女性、若者より年長者のほうが朝食を食べる

「朝食の摂取頻度を教えてください」の設問では、2010年・2022年ともに、週に5日食べる人が約7割程度。

性年代別の結果では、男性より女性、若者より年長者のほうが朝食頻度が高い傾向でした。

2010年

2022年

男性20代は、2010年の調査では平日に朝食をとる人の割合が合計92%でしたが、2022年は21.5%減少し、70.5%となっています。

ちなみに、男性20代は幸せ度が全世代の中でもっとも低い年代となっている点も注目です。

平日に朝食をとる理由

「平日、朝食をとる理由を、全て教えてください」という設問に対する回答を見ていきましょう。

2010年の1位は「健康に良いから」、2022年の1位は「純粋にお腹が減るから」となりました。

2位「1日の活力が出るから」、3位「生活のリズムができるから」は2010年・2022年も同様で、朝食をとることで1日の活力や生活のリズムを望む人は普遍的に多いことが分かります。

朝食頻度が高い人は、なんとなく食べるというより摂取理由がはっきりしており、朝食の有用性を認識しているようです。言い換えると、朝食頻度が低い人は朝食をとるメリットがいまいちピンときておらず、摂取意識が低くなっていると言えそうです。

長時間のスマホと朝食頻度の関係性 

さらに、スマホ使用時間と朝食頻度の関係についても見ていきましょう。

朝食頻度が高い層は、スマホの使用時間が少ない傾向が見られました。朝食頻度が高い層とそれ以外では、スマホを1日3時間以上利用する割合に10ポイント以上の差が見られ、5時間以上利用する割合ではおよそ2倍の差が生じています。

スマホを長時間使用する人は朝食頻度が低い傾向

男性20代にはスマホを長時間使用する人の割合が多く、長時間使用が睡眠時間の減少や不規則な生活リズムを引き起こし、結果として朝食頻度低下に影響を及ぼしていると言えそうです。

朝食頻度が低い人は、休日に寝ていることが多い

朝食頻度が高いほど「生活リズムが安定している」「体調管理・健康管理に気を配っている」「定期的にからだを動かしている」傾向がありますが、朝食頻度が低い人は「休みの日は寝ている」ことが多い傾向です。

また、コロナ禍以降の平日のアフター5の過ごし方では、「家でくつろぐ」「ネットをする、TVやDVDを観る」などが大幅に増加しており、スマホが長時間使用されやすい環境に変化していることもうかがえます。

ちなみに、2010年と2022年を比較して顕著だったのが「アフター5はない」と回答する方が増加したことです。

朝食にお米をよく食べる人は「幸せ度」が高い?

同調査では幸せ度の高い層が、コロナ禍以降に「朝食頻度」と[お米」を食べる頻度が高くなっていました。一方、幸せ度が低い層は、「朝食頻度」と「米を食べる頻度」が幸せ度が高い層の半分程度と低い結果に。

また、「幸せ度」が低い層は、イライラしたり、不安になったりする頻度が高い傾向も見られました。

「幸せ」の基準も変化

なにをもって「幸せ」とするかは人それぞれですが、今回の調査では、幸せ度は「自由な時間」や「余暇や趣味の充実度」を重視する傾向が高まっています。

2010年・2022年の全体結果を見ると、上位3位の項目はどちらも変化なし。1位「経済的な余裕」、2位「健康状態」、3位「家族の状態や家族関係」でした。

しかし、4位と5位に差が生じており、 2010年は4位「仕事の充実度」、5位「自由な時間があること」であったのに対し、2022年は4位「自由な時間があること」、5位「充実した余暇が過ごせていること」の結果となりました。  

何をしたときに幸せを感じる?

「幸せを感じるとき」においても、2010年調査で回答率首位だった「仕事がうまくいったとき」の回答率が大幅に減少し、「食事をしているとき、食べ物を食べているとき」が首位となりました。

また、2010年の1位「仕事がうまくいったとき」は、2022年では7位にランクダウン。一方、2022年1位の「食事をしているとき、食べ物を食べているとき」は、2010年では5位であったのが首位に躍り出ています。

約10年前との価値観の変化が伺えますね。

調査の結果まとめ

1. 朝食頻度と「幸せ度」との関係

(1) 朝食頻度が高いほど「幸せ度」が高く、「幸せ度」が高いほど生活面での「ポジティブな意識」が強い。
(2) 「幸せ度」は朝食を毎日食べる人と週1日以下食べる人とで10.7点の差がある。
(3) 朝食頻度が高い人は朝食をとる理由が明確であり、目的意識が高い。
(4) 朝食頻度が高い人ほど「生活リズムが安定している」「体調管理・健康管理に気を配っている」「定期的にからだを動かしている」。
(5) 朝食頻度が高い人ほど平日のアフター5、および休日の充実度が高い。
(6) 朝食頻度が低い人は、休日に寝ていることが多い。

2. 朝食頻度と「スマホ使用時間」、「朝食時間」、「起床時間」との関係

(1) 朝食頻度について、男性20代において大きな低下が見られた。
(2) スマホを長時間使用する人は朝食の摂取頻度が低い。
(3) 朝食頻度が高い層の8割は、朝7時前に起床、8時までに朝食を済ませており、朝型生活と朝食頻度は相関が強い。

3. コロナ禍以降のライフスタイルの変化
(1) 「幸せ度」が高い層はコロナ禍以降に朝食頻度と米を食べる頻度が高くなっている。
(2) 平日のアフター5の過ごし方では、「家でくつろぐ」「ネットをする、TVやDVDを観る」などが大幅に増加している。
(3) 「実店舗でショッピングする」や「外食に出かける」が大幅に減少し、「アフター5はない」も増えている。
(4) どの年齢層も男女とも「外食に出かける頻度」「一週間当たりの外出回数」を増やしたい意向が強い。

4.「幸せ度」を判断する時に重視することの変化
(1) 「幸せ度」を判断する時に「仕事の充実度」よりも「余暇や趣味の充実度」を重視する傾向が強まっている。
(2)  「幸せを感じるとき」においても、2010年調査で回答率首位だった「仕事がうまくいったとき」の回答率が大幅に減少し、「食事をしているとき、食べ物を食べているとき」が首位に躍り出た。
(3)  2010年調査と2022年調査とで世代交代による価値観の変化の影響が見られた。

以下、NeU取締役CTO(東北大学ナレッジキャスト取締役)川島隆太博士のコメントです。

今回の調査で、朝食頻度が高いほど「幸せ度」が高く、「幸せ度」が高いほど「ポジティブな意識」が強い傾向が12年前の調査と同様に見られたことは想定内でしたが、ファクトとして確認できたことに大きな意義があると思います。

脳を午前中からフル稼動させ、仕事や勉強のパフォーマンスを高めるには、脳のエネルギー源となる、朝食が重要です。脳は炭水化物から作られるブドウ糖を栄養として働きますが、エネルギーが供給されないと働きません。朝食を食べなければ、午前中はボーッとして脳が働きません。

東北大学での研究で、主食が「パン」の人と比べて「米飯」の人の方が脳の灰白質の量が多い、つまり神経細胞の量が多いことがわかっています。神経細胞はパソコンで言えばCPU(中央演算処理装置)ですので、神経細胞の量が多いということは情報処理容量が多いということです。

パンよりも「米飯」の方が脳に良いもう一つの理由は、ブドウ糖を消費する速度を示すGI(グリセミックインデックス)値が影響を与えるからです。米飯は食パンなどに比べGI値が低く、ブドウ糖の代謝速度が遅いため、ゆっくりと代謝して糖を供給できるため、脳が午前中しっかり働けます。

ただし、脳を働かせるには、肉、魚、大豆製品、野菜など「おかず」から吸収する栄養も欠かせません。ブドウ糖が使われるには、ビタミンB1やクロム、リジン、アルファリポ酸などの補助栄養素が必要だからです。

一方、スマホの長時間利用によって、集中力が長く続かない、思考力が低下する「スイッチング」と呼ばれる弊害があることがわかっています。

また、コロナ禍で増えたオンライン会議では、会議参加者同士の脳に共感が起こらず、コミュニケーションの質が低下する弊害も明らかになっています。

これらの弊害を解決するには、なるべく外出機会を増やし、対面でのコミュニケーション機会を増やすことです。幸い本調査結果で、どの層にも「外食・外出頻度を増やしたい」意向が強いことが明らかになっていますので、企業側にもそうした機会をどんどん増やしていただくことが望まれます

参考:「朝ごはんを食べる習慣と、 幸せ度と生活満足度との関連性が明らかに」2010年東北大学プレスリリース

<Text:辻村>