ヘルス&メンタル
2024年12月18日
「社会的孤独」は動脈硬化を促進させる。慶應義塾が仕組みを解明 (2/2)
愛情ホルモン「オキシトシン」で脂質代謝異常と動脈硬化が抑制
詳細な検討により、オキシトシンは肝細胞において、CYP7A1を介した胆汁酸の生成によるコレステロール排泄とANGPTL4およびANGPTL8を介したリポタンパクリパーゼ(LPL)活性制御による中性脂肪の分解という二つの機能を併せ持ち、全身の脂質代謝を制御していることを見出しました。
さらに、オキシトシンを経口補充することで、社会的孤独による脂質代謝異常と動脈硬化が抑制されることを確認しました。
オキシトシンは“幸福ホルモン”として社交性や感情の制御、乳汁分泌、子宮収縮などに関与していることが知られていますが、今回の研究によってオキシトシンの新たな機能だけでなく、オキシトシンが脳と肝臓を結ぶ重要な鍵分子であることも明らかとなりました。
現在臨床の現場で主に使用されている脂質異常症の治療薬に胆汁酸生成促進やLPL活性の改善を機序に持つものはありません。
オキシトシンが、特に社会的孤独による動脈硬化進展に対する新たな治療標的として期待されるのみならず、社会的つながりや“絆”が動脈硬化の原因となる脂質異常症の予防に重要であることが改めて強く示唆されます。
この研究結果は2024年11月27日(米国時間)にCirculation Research誌で公開されました。
本文:https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/files/2024/12/16/241216-3.pdf
<Edit:編集部>
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