
ストレスや緊張を感じたときは「ほうじ茶」。その理由とは (2/2)
試験方法
本研究では、
被験者は、
また評価項目は、
さらに主観的な気分の状態を評価するために、Visual Analogue Scale (VAS) によるアンケート調査を実施しました。
どんな結果だったか
本研究の結果から、
また、ほうじ茶の主要香気成分であるピラジン類の香りにより、
これらのことから、
研究結果の概要
試験1 ほうじ茶の香りが自律神経活動に及ぼす影響
白湯とほうじ茶の香りを2分間嗅いだ後の瞳孔径の変化を測定しました。
その結果、対照区(空気)と比較して、白湯とほうじ茶の香りを嗅ぐことにより、ともに瞳孔の縮瞳率(※6)が増加しました(図1)。
次に、白湯とほうじ茶の香りを嗅いだ後の末梢皮膚温(指尖温度)の変化を測定しました。
その結果、瞳孔の縮瞳率と同様に対照区と比較して、白湯、ほうじ茶の香りを嗅いだ後では、末梢皮膚温の上昇が認められました(図2)。
これらの結果から、ほうじ茶の香りを嗅ぐことにより、交感神経が抑制され副交感神経が亢進されることを確認しました。また、今回の試験では、白湯による水蒸気でもその効果が認められました。
試験2 ほうじ茶の香りが主観的な気分の状態に及ぼす影響
白湯とほうじ茶の香りを2分間嗅いだ後の主観的な気分の状態の変化をVAS法により評価しました。
その結果、対照区と比較して白湯とほうじ茶の香りを嗅いだ後では、ともに「緊張感」、「不安感」のスコアが減少しました。
また、ほうじ茶の香りのみ、「気分」、「心地よさ」、「眠気」のスコアの増加が認められました(図3)。これらの結果から、ほうじ茶の香りを嗅ぐことにより、心理的な面でも鎮静的な効果があることを確認しました。
試験3 ほうじ茶の香りが中枢神経活動に及ぼす影響
白湯とほうじ茶の香りを嗅いでいる間の脳血流の変化を測定しました。
その結果、対照区と比較して、白湯とほうじ茶の香りを嗅いでいる間では、ともに前頭前野部の酸素化ヘモグロビン量が減少しました(図4)。
また、白湯とほうじ茶の香りを比較すると、ほうじ茶の方がより多くの測定部位で酸素化ヘモグロビン量が低くなることを確認しました。
これらの結果から、ほうじ茶の香りを嗅ぐことで、前頭前野部の脳血流の低下が確認され、中枢神経系の側面からも鎮静効果があることを確認しました。
試験4 ほうじ茶の主要香気成分であるピラジン類の効果
ほうじ茶の香りと同様に、主要香気成分である3種類のピラジン類の効果を検証しました。
その結果、対照区(蒸留水)と比較して、ピラジン類の香りを嗅ぐことにより、瞳孔の縮瞳率の増加と指尖皮膚温の上昇が認められました(図5、6)。
また、主観的な気分の状態では、対照区と比較して、2-エチル-5(6)-メチルピラジンの香りを嗅ぐことにより、「緊張感」、「不安感」のスコアが減少し、2,3,5-トリメチルピラジンの香りにより、「疲労感」のスコアの減少と「眠気」のスコアの増加が認められました。
さらに、脳血流の測定では、対照区と比較して、2,3,5-トリメチルピラジンの香りにより、全てのチャンネル(ch11除く)において酸素化ヘモグロビン量の減少が認められました(図7)。
これらの結果より、ほうじ茶の香りの主要香気成分であるピラジン類にも、ほうじ茶の香りと同様に鎮静効果があることを確認しました。
<Edit:編集部