
大人の女性のADHD、よくある「3つの特徴」とは[医師監修] (2/2)
特徴2 予定をあまりにも詰め込みすぎる
田中先生:ADHDの場合、処理できないほどの仕事を受けたり、予定を詰め込み過ぎたりすることがあります。
とくに、「引き受けた仕事の提出を先延ばしにする・仕事を溜め込んでしまう」ことが頻繁に起きる場合はADHDが疑われます。
ADHDの方は、前もって計画を立てられない・優先順位を考えて行動できないといったことが多いです。この症状は、脳内の神経伝達物質の働きが上手くいっていないことが原因と考えられています。
特徴3 単純なミスや失くし物、忘れ物が多い
- 単純なミスを何度も繰り返す
- 物を置いた場所を忘れる
- 物を失くしやすい
- 約束したことを忘れる
田中先生:ADHDは、上記のような「不注意」の症状が強く出ることが多いです。
不注意の症状は、「気持ちのコントロールが困難になる」「注意力・記憶力・学習能力が低下する」といった状態に陥ることで生じます。
これは、脳内神経伝達物質(ドーパミン・ノルアドレナリン)の機能低下が原因だと考えられています。
もしかしてADHDかも……どうしよう?
田中先生:以下の状態であれば、医療機関の受診をおすすめします。
- 日常生活や社会生活を送る中で「生きづらい」と感じる
- 自己肯定感が低い(自分に自信が持てない)
- 周囲からのネガティブな反応に耐えられない
ADHDを放置すると、二次障害(※)を引き起こすリスクが高まり、より強く生きづらさを感じるようになります。
(※)適応障害・社交不安障害・あがり症・パニック障害・強迫性障害・うつ病など
ご自身の特性を深く理解するためにも、ADHDが疑われるときは、心療内科で受診しましょう。
医療機関では、問診・心理検査・知能検査・頭部CT・MRI・脳波検査などの方法で診断を行います。ADHDと診断した場合は、「薬物療法」・「心理・行動療法(カウンセリング)」による治療を行います。
▼薬物療法
ADHDは脳内の神経伝達の乱れによって、神経伝達物質(ドーパミン・ノルアドレナリン)の機能が低下している状態です。この状態を改善するために、「中枢神経刺激薬」・「選択的α2Aアドレナリン受容体作動薬」等の抗ADHD薬が用いられるケースが多いです。▼心理・行動療法(カウンセリング)
普段の行動パターン・考え方の癖を見直す治療方法です。感情のコントロール・スケジュール管理などを上達させ、日常生活でのトラブル回避につなげます。
ADHDを根本的に改善させるには「薬物療法」だけでなく、「心理・行動療法」も並行して行う必要があります。
▼参考
公益社団法人 日本精神神経学会 今村明先生に「ADHD」を訊く
内閣府 ひきこもりと発達障害
たわらクリニック 注意欠陥・多動性障害(ADHD)
監修者プロフィール
田中 奏多先生
福島県立医科大学卒業。「働く人を支える」薬に依存しない医療を展開する「BESLI CLINIC」を2014年に協同創設、2030年を基準に医療現場から社会を支える医療経営を実践しています。産業医視点からビジネスマン・ビジネスウーマンを支えております。生薬ベースの漢方内科での経験を活かし、腹診を含めた四診から和漢・井穴刺絡などの東洋医学を扱い、ホルモン、生活習慣をベースに身体から心にアプローチする診療を担当。米国マウントサイナイ大学病院へ留学、ハーバード大学TMSコースを修了。TMSをクリニックへ導入、日本人に合わせたTMSの技術指導、統括を行っています。
<Edit:編集部>
※本記事は、Medicalook(メディカルック)で掲載されていた内容を移管し、加筆・修正したものです。