
30代女性の「体がだるい」「やる気が出ない」…原因は?産業医が解説 (2/2)
生理やホルモンバランス……女性ならではの原因もある
女性ならではの原因に、月経前症候群(PMS)と更年期障害があります。
1.月経前症候群(PMS)
月経の14日ほど前に、女性ホルモンの変動で、イライラ、倦怠感、過食、むくみなどが生じます。自分の女性ホルモンの変動を知り、生理前はいつもより30分早く寝ましょう。
ピルや抗うつ薬、漢方や西洋薬などもPMSのコントロールに有効です。
2.更年期障害
自律神経の異常と、女性ホルモン(エストロゲン)の減少で、ほてり、めまい、不眠、不安などが続きます。薬物療法(ホルモン補充療法、漢方薬など)、精神療法が行われます。腰回りを動かす運動も効果的です。
病気が原因のケースも。考えられる3つの疾病
1.自律神経失調症
身体的(頭痛、胃痛、しびれなど)、精神的(不安、落ち込み、無気力など)な不調が起こります。そのほか、全身のだるさ、食欲不振、睡眠障害などの症状があります。
<対処方法>
薬物療法、カウンセリングなどの心理的療法と、生活習慣の改善を行います。
<受診の目安>
日常生活に支障をきたしている場合は、病院へ相談してみましょう。心療内科、精神科、内科を受診してください。
※あなたの症状や各病院の設備などによって、適切な医療機関を紹介されることもあります。
2.甲状腺機能低下症
代謝が低下し、倦怠感、だるさ、体温の低下、体重増加、皮膚の乾燥などの症状があらわれます。そのほか、目や顔がはれぼったくなる、抜け毛、生理不順などの症状があります。
<対処方法>
薬物療法を行います。
<受診の目安>
症状が当てはまる場合は、内分泌内科、耳鼻いんこう科を受診してください。
※あなたの症状や各病院の設備などによって、適切な医療機関を紹介されることもあります。
3.うつ病
眠れない、何をしても楽しくない、思考がネガティブになるなどの症状があります。
<対処方法>
治療では、薬物療法、カウンセリング、TMS治療(磁気治療)、電気けいれん療法を行います。
<受診の目安>
症状があらわれ、日常生活に支障をきたす場合は、心療内科か精神科を受診してください。
※あなたの症状や各病院の設備などによって、適切な医療機関を紹介されることもあります。
こんな症状は病院へ! 医療機関に行く目安
・日常生活に困難感を感じる
・眠れない、やる気のない日が2週間ほど続く
・明らかにいつもと違う状態が続いている
体がだるいというお悩みだけで病院に行っていいのかと心配される方もいらっしゃいますが、体がだるいだけで病院を受診しても大丈夫です。
心の不調が身体の不調としてあらわれる場合もあり、放っておくと悪化し、治療に時間がかかる場合もあります。いつもと違う状態が2週間続いたら、まずは不調に対応する診療科、または、かかりつけ医に相談してください。
思わぬ原因が見つかって、病気の重症化を予防することもあります。日常生活を維持しながら治療ができるように、早期発見、早期回復をめざしましょう。
▼参考
日本産婦人科学会:月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS)
甲状腺機能低下症 - 厚生労働省:重篤副作用疾患別対応マニュアル
厚生労働省 みんなのメンタルヘルス
監修者プロフィール
田中 奏多先生
福島県立医科大学卒業。「働く人を支える」薬に依存しない医療を展開する「BESLI CLINIC」を2014年に協同創設、2030年を基準に医療現場から社会を支える医療経営を実践しています。産業医視点からビジネスマン・ビジネスウーマンを支えております。生薬ベースの漢方内科での経験を活かし、腹診を含めた四診から和漢・井穴刺絡などの東洋医学を扱い、ホルモン、生活習慣をベースに身体から心にアプローチする診療を担当。米国マウントサイナイ大学病院へ留学、ハーバード大学TMSコースを修了。TMSをクリニックへ導入、日本人に合わせたTMSの技術指導、統括を行っています。
<Edit:編集部>
※本記事は、Medicalook(メディカルック)で掲載されていた内容を移管し、加筆・修正したものです。